学会活動Activity

理事長からの年頭の御挨拶

2019年1月吉日

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年動き出した日本専門医機構の研修制度が二年目に入ります。全国で412名が一次募集で採用され、現在二次募集中の方が27名います。ただ、東京都は昨年に続き、また福岡県は今回新たに、応募者数が日本専門医機構が定めたシーリング数を超えました。希望が叶わなかった専攻医の皆さまには誠にお気の毒でしたし、関係した施設の方々には調整で多大なご苦労をおかけしました。当学会は根拠のないシーリング数にかねてより反対意見を述べてきましたが、現行のシーリング制が精神科医療にどのような影響を及ぼすのかを全国レベルで注意していく必要があります。

 精神疾患を抱える方の寿命が短いことは紛れもない事実であり、精神医学にとって等閑視できない問題です。今期理事会で設置されたガイドライン検討委員会では、日本糖尿病学会、日本肥満学会と協働して「統合失調症に合併する肥満・糖尿病の予防ガイド(仮題)」を作成してきており、現在終盤を迎えています。今後は、リーガルチェックと各学会でのパブコメ募集という手続きを経て、最終版を完成させます。また、日本産科婦人科学会との協働で「精神疾患を合併した、或いは合併の可能性のある妊産婦の診療ガイドライン」の作成にも着手します。

 昨年6月に導入版が発表されたICD-11は、今年5月のWHO総会での承認をもって確定します。この度、厚生労働省の指示で、各学会がその専門領域の日本語病名を提案することになりました。当学会は、これまで精神科病名検討連絡会で検討してきたICD-11の病名・用語の日本語訳を政府に提案します。またICD-11委員会は、「精神、行動及び神経発達の疾患」の診断ガイドラインの日本語版の作成を進めています。そして、多くの方に数年にわたりご協力頂いた、主な疾患を対象としたフィールドスタディ(全世界13カ国参加)が終了し、高い信頼性(Reed GM et al, World Psychiatry 2018; 17:174-186)と有用性(Reed GM et al, World Psychiatry 2018; 17:306-315)が報告されました。ぜひご一読ください。

 精神医学研究推進委員会は、昨年5月に「精神疾患の克服と障害支援にむけた研究推進の提言」を発表しました。関連諸学会とともに、当事者・家族のニーズに適う成果に繋げる研究の必要性及びその具体的方策を提示することを企図し、提言を練り上げています。また国立精神・神経医療研究センターを中心とし、本委員会が協働する体制で、AMED事業「精神疾患レジストリの構築・統合により新たな診断・治療法を開発するための研究」を立ち上げました。

 上記以外にも当学会には50もの委員会があり、それぞれに重要な問題を扱って活動しています。加えて昨年新たに、身体的拘束の現状分析とより安全な在り方を検討する特別委員会を立ち上げました。また旧優生保護法への精神科医療の関わりを調査する作業に着手しました。どちらも困難な作業になると予測されますが、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 6月に開催される新潟総会では、各委員会が検討しているテーマを取りあげたシンポジウム、教育講演などが行われる予定です。一般演題では、特別ポスター537題、その他の口演・ポスターが729題、あわせて1266演題が登録されており、とても充実したプログラムになりそうです。皆さまふるってご参加下さい。

 最後になりましたが、多くの偉大な先駆者達の志を継いで、新たな精神医学・より良い精神医療を切り開くために、会員の皆様とともに学会活動を力強く進めたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

公益社団法人日本精神神経学会
理事長 神庭 重信