この度の東日本大震災の被害につきまして、心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。
皆様は大変な思いを抱きながら、懸命のご努力をされていることと思います。私たち日本精神神経学会と致しましても、様々なかたちで皆様の支援に邁進して参りたいと思います。
皆様のおかれている厳しい状況を考えますと、心がくじけそうになったり、辛い気持ちに耐えられないと感じておられる方もおられることと思います。しかし必ずや、時間とともにこの困難な時期を乗り越えられるものと確信をしております。
災害の後ではよく「こころのケア」ということが言われます。これは決して、病気の治療ということではありません。皆様の回復の歩みを見守りながら、体や暮らしを含めた総合的な支援を考えていくと言うことです。ほかならぬ皆様ご自身が、ご自分や周囲の方々を思いやり、支え合っていることを私どもは十分に承知しております。私どもは、皆様の回復の歩みを妨げることなく、できるだけ手の届くところにいて、必要なときの相談やケアをご提供できるように、関係機関と連携しながら努めて参りたいと思っております。
つらい時には、どうしてもお酒や喫煙、カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶など)が増えることがありますが、かえって不安や不眠を引き起こすことにご注意下さい。ご自分の疲れに気がつきにくくなったり、本当の気持ちを話せなくなってしまったり、あるいはイライラしたり、急に気持ちが動揺することもあります。その多くは自然に回復することが知られています。数日間続くとか、自分でもお困りになるときには、どうか医療関係者にご相談下さい。
またご自身も被害を受けながら救援、復旧活動に従事しておられる方々に対しては格別のご支援が必要と考えております。
最後に、災害の後では様々な風説が流れ、かえって被災者の方々を不安にさせることがあります。支援に当たる医療従事者におかれましては、十分に信頼できる情報源を参照されますようにお願いを申し上げます。
2011年3月15日
日本精神神経学会
理事長 鹿島 晴雄(当時)