公益社団法人 日本精神神経学会

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学会案内|About Japanese Society of Psychiatry

理事長就任にあたって

更新日時:2025年7月24日New


この度、日本精神神経学会の理事長を拝命いたしました。2万人を超える本学会の長の役割となり、身の引き締まる思いです。理事長就任にあたり、以下の5項目を、自らの目標に掲げました。

1.精神科医療の質の向上
本学会は、質の高い精神医学の実践を通じて、精神疾患を持つ当事者、その支援者、さらに国民全体に対して、よりよい社会、住みよい社会を実現する、という使命を負っています。多様な問題に対して、遅滞なく見解を発出し、また必要に応じて調査・研究を行って参ります。委員会活動は当学会の活動の要です。次世代の精神科医療を担う若手会員にはこれまで以上に積極的な学会活動への参加を促し、精神医学に求められる様々な課題に対して着実に、ただし時には大胆さも忘れずに、取り組んでいきたく思います。

2.精神医学の研究推進
学会機関誌(PCN、PCN Reports、精神神経学雑誌)はそれぞれに特徴を持ちながら、高い質の論文を発信しています。また年次学術総会は、参加者が右肩上がりに増え、プログラムもますます充実して参りました。学術誌、学術総会のいずれにおいても、新たな挑戦は積極的に応援していきたく考えています。一方で、新しい診療のモダリティとして登場した各種ニューロモジュレ―ション技術、遠隔診療、デジタル治療(DTx)についても、適正使用を含む倫理的配慮の枠組みを整備しつつ、推進していきたく考えています。

3.専門医・指導医の充足、教育体制の強化
専門医・指導医の不足あるいは偏在は、地域医療の崩壊につながりかねません。基本領域学会の一つとして、社会状況の変化、特に刻々の制度の変更に対して迅速に対応して参ります。専門医・指導医の数的充足と合わせ、指導の質の担保も重要です。そのためには、指導者自身の自己研鑽、すなわち広い意味での生涯教育の観点が欠かせません。折しも、医学教育は卒前卒後一貫へと舵が切られています。医学生から専門医取得後も一貫して学び続けることができるような、そして学びたくなるようなプラットフォームをつくっていきたく考えています。

4.国際交流、未来に開かれた精神医学
サイエンスとしての精神医学の現在の水準を一層高め、国際的な認知度、競争力を向上させていきたく考えています。一方で、精神科医療、精神医学教育についても、これまで以上に国際交流を活発にし、よりよい精神科医療を目指し、世界と協調し、時には切磋琢磨していきたく考えています。

5.透明性の確保
以上の4つの活動を進める上で、透明性の確保は必須と考えます。一般国民に対しては学会活動の広報をこれまで以上に積極的に行い、一方で、会員に対しては、理事会や各委員会が何を行っているのかが見えやすいかたちを目指し、そして、多くの会員の皆様に学会活動への参加をこれまで以上にお願いしたく思っています。

 

以上、5項目に分け、所信を列挙しました。ただ、当学会は会員数2万人を超えるマンモス学会です。精神医学の発展、当学会の発展を願うことにおいて、会員の皆様は総論として一致していたとしても、多くの課題の中で何を優先的に実施するのかという点で、意見の多様性は生じるかもしれません。しかし、意見の相異は当然のことであり、むしろ健全なことです。会員の多様な思いを受け止め、言語化し、そこに意見の対立がある場合には、全力を挙げてそこに最適解を見つけていくことこそが、理事会・理事長の役割と心得ています。会員の様々な熱い思いがシナジー効果を生む、そのような活力みなぎる学会を目指していきたく思っています。

 

日本精神神経学会理事長

村井 俊哉

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