公益社団法人 日本精神神経学会

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学会案内|About Japanese Society of Psychiatry

理事長就任にあたって

更新日時:2023年10月15日

 この度、2023年6月、日本精神神経学会の理事長を拝命いたしました。約2万人の会員を擁する本学会を舵取りしていく立場となり、改めて身の引き締まる思いです。DEI(Diversity, Equity & Inclusion)が社会全体にとっての、困難ですが到達可能な目標と認識される中で、本学会も様々な課題に直面しています。

 私は久住一郎前理事長の基本方針と精力的な活動を踏襲しながら、ともすれば意思決定に時間を要し、硬直しがちな巨大組織にあって、迅速な意思決定と柔軟な規制緩和を旨とし、次世代へのトランジションを果たしていく所存です。具体的には、以下の諸問題に取り組み、適切な解決策を図り、本学会の発展に尽力したいと思います。皆様からも忌憚のないご意見・ご要望をお寄せいただければ幸いです。

信頼される質の高い精神科医療の構築

精神科医療が精神疾患を持つ人のためのものであることを再確認し、その目的に資する安心で質の高い精神科医療・福祉の推進に尽力します。また、精神科医療の差別的歴史を真摯に受け止め、必要に応じて声明を発出していきます。AI・ITの利用や遠隔診療、ニューロモデュレーション等、先端技術を精神科医療に積極的に応用していく流れを進める一方、これらの適切な使用や倫理的配慮の枠組みを十分に整備することも急務です。

精神医学研究の推進

現在、本学会員の研究成果は、3つの学会機関誌で発信され、国際的にも高い評価を得ています。この研究能力の維持と発展を支える体制をさらに充実させていきます。また、学会として種々の調査が実施できる基盤整備を行い、これらのシーズを活かした学会主導の多様な研究を増やしていきたいと思います。

精神医学教育の充実

国民にとってわかりやすくバランスの取れた精神科専門医制度の仕組みの整備に努め、高質な専門医の育成を進めます。研修プログラムをサポートし、専門医研修終了率と試験合格率の適切な向上を目指します。また、精神科専門医テキストの出版やe-learningコンテンツの充実を図り、卒後教育・卒前教育ともに充実させます。

関連諸団体との連携強化

精神科領域の最大組織としての精神科七者懇談会と意見交換しながら、特に倫理的・社会的問題については国民や当局に積極的かつ迅速に意見表明することが重要です。サブスペシャルティ学会とも緊密に連携し、必要な情報を会員に提供していきます。

学会の組織強化

多様な背景(ジェンダー、年齢、所属機関、国籍など)を持つ会員が、それぞれの力を存分に発揮しつつも、建設的に協調できるような学会運営を推進します。当学会の新旧世代のトランジションを円滑かつ発展的に進めることが急務です。会員に対しても理事会の内容をしっかりと報告し、学会の動きをわかりやすく周知していく所存です。

日本精神神経学会理事長

三村 将

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