わが国の自殺死亡率は国際的に見ても高く、従前より、対策の必要性が指摘されてきましたが、平成 10 年の自殺者数の急増以降は、年間 3 万人を超える深刻な事態となっております。この間、わが国においては、さまざまな対策がとられましたが、その効果が明確にならない中で、平成 18 年には議員立法として自殺対策基本法が制定され、平成 19 年には、この法律をもとに自殺総合対策大綱が公表されました。 精神医学・精神医療の基幹学会であり、わが国の精神科医の多数が会員となっている当学会におきましては、従来から、会員による日々の診療や研究、さらに地域、職場などにおける社会活動を通じて、自殺対策にも協力してまいりました。 自殺は、経済・生活問題、健康問題、家庭問題など多様かつ複合的な原因および背景を有するものですが、当学会は、総合的な対策を担う一翼として、その果たすべき役割を強く認識し、学会総体としての活動をさらに推進し、社会に貢献していく所存であります。
平成20年9月10日
社団法人 日本精神神経学会
理事長 小島卓也