公益社団法人 日本精神神経学会

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学会活動|Activities

Volume 17, Number 2, June 2018

更新日時:2018年10月17日

Editorials

Why the clinical utility of diagnostic categories in psychiatry is intrinsically limited and how we can use new approaches to complement them
なぜ精神科におけるカテゴリー診断の有用性には本質的な限界があり、新しい方法でどうそれを補うことができるか

<要旨>
精神医学ではDSMやICDといった、治療のfirstステップである診断に重きを置きすぎており、secondステップである個々の症例の特徴についての検討がおろそかにされてきた。DSMやICDの診断を導く構造化面接に加えて、精神病理学的な側面、重症度や臨床像、前駆症状や随伴症状に着目し、臨床医が個々の患者を体系的に特徴づけるためのツールを構築する必要がある。

〔翻訳:河岸 嶺将〕

Special Articles

Experience sampling methodology in mental health research: new insights and technical developments
精神保健研究における経験サンプリング法:新しい視点と技術的発展

<抄録>
精神保健分野において、ESM(experience sampling methodology)を利用した日常生活の文脈における精神症状の研究が、従来の研究手法に効果的かつ必要な知見を加える可能性に注目が集まってきている。本稿は、ESMを用いてひとつひとつの経験や行動をしっかりと取り上げて解釈することが、いかに標準的アプローチに新しい洞察や更なる視点を加えるかについて概観する。より具体的には、ESMがいかにしてa)精神病理学的現象のより深い理解に寄与するか、b)変動性を経時的に捉えることを可能にするか、c)症候学における変動性の内的・状況的決定因子の同定を促進するか、d) 人とその周囲の環境との相互作用や実生活における社会との関わりについての徹底的な検証を可能にするか、を論じている。精神病理やその根底にあるメカニズムの評価の進歩に続いて、ESMは、治療効果のよりきめ細やかな評価を可能にすることや、ecological momentary intervention (行動医学における新しい概念で、日常生活における自覚症状をリアルタイムに記録し、その評価に基づいて適切な介入を行うというもの)の発展とともに治療を臨床の場から実生活の場に拡大する機会を提供することによって、臨床実践の進歩に貢献する。総じて、多くの懸念や課題はあるものの、ESMは研究と臨床両方の観点から、精神医学における個別化医療に最良の機会をもたらすといえる。

<要旨>
精神保健分野において、ESM(experience sampling methodology)を利用した精神症状の研究に注目が集まってきている。ESMは日記を自己報告する構造化手法であり、本稿では、その手法がいかに従来の標準的アプローチに新しい洞察やさらなる視点を加えるかについて、またESM研究の技術的な面について概観している。

〔翻訳:佐竹 祐人〕

Beyond the “at risk mental state” concept: transitioning to transdiagnostic psychiatry
発症危険状態(At risk mental state)の概念を超えて:診断横断的精神医学への移行

<抄録>
精神病に対する発症危険状態(At Risk Mental State: ARMS)の提唱はここ25年に渡って、次々と、生産的な結果を生み出す研究領域であった。本稿では、この領域を概観し、次のような重要な知見をまとめている。この表現型が、精神病だけでなく、長期か短期かに関わらず、精神病以外の疾患を合併すること、そして少なくとも超危険(Ultra High Risk: UHR)患者では、精神病の発症が少なくとも遅れることや辛うじて精神病性障害と診断されるものの中には、UHRの診断基準を満たさないリスク状態から移行するものがあるというエビデンスがある。この領域は精神病発症の危険因子やメカニズムにも言及している。しかしながら、ARMSや関連する領域からわかったことは新しい概念と診断戦略の開発が必要であるということである。これらの発見は精神疾患の若年層における高い有病率と与える影響、昨今の診断基準とリスクを同定する方法の限界、精神病発症の初期段階において様々で一定しない症状のパターン、そしてそれらの多様性や超診断の流跡を含んでいる。この提唱は昨今になってクリニカルステージングモデル(clinical staging model)や対象間のインプットからアウトプットまで幅広く対応できるオリジナルのARMSの概念を採用することによって開発された。動的法則理論(dynamical system theory)、ネットワーク理論、結合モデリングといった、精神病理の力動的な性質に基づいた革新的なモデリングや予測戦略にこの提唱は基づいている。重要なのは広域な超診断的アプローチと、分析や妥当性を向上することといった、特定の予測を向上させることは同時に成り立つということだ。機械学習や反復確率論的マルチモーダルのような新しい予測アプローチをきめ細やかで連続的に長期的な評価によって得られた被験者の脳波のような神経心理学的データや身体的異常、そして、神経炎症や神経ネットワークの異常といったバイオマーカーを混ぜたものにあてはめる総論的戦略が開発された。この戦略は究極的には我々の理解および、初期段階や精神病への進展になりうるような発症の予測能力高め、さらには予防的介入への道を開くだろう。

<要旨>
本稿では、発症危険状態(At Risk Mental State: ARMS)や超高危険(Ultra High Risk: UHR)の概念は役に立ってはきたが、精神病初期段階の不安定さや多様性から適切に診断されないことがあり、心理社会的因子、バイオマーカー、神経認知などのあらゆる危険因子を元に判定する超診断的アプローチを提唱している。筆者は新たに臨床的発症危険状態(Clinical High At Risk Mental State: CHARMS)という、カテゴリー分類に基づかない、スペクトラムのような、新たな危険状態を提唱し、ネットワーク理論や動的システム理論(dynamical system theory)、結合モデリングを用いてどのような因子が発症に関わるか解析し、発症の予防に役立てたいとしている。

〔翻訳:河岸 嶺将〕

Perspectives

Robustness and replicability of psychopathology networks
精神病理ネットワーク手法の頑健性と再現性

<要旨>
精神疾患は症状の相互作用から生じると考え、それぞれの症状のネットワーク構造の中で病理を理解する、という「ネットワークアプローチ」について、昨今の研究の発展によってこの解釈モデルの有用性が高まっていることを、その質、正確性、再現性に着目した具体的な評価プロセスとともに本稿で紹介している。この解釈モデルとそれに基づく分析が、精神病理の研究と治療を大きく前進させると筆者は強調している。

〔翻訳:佐竹 祐人〕

Accelerated biological aging in serious mental disorders
重度精神疾患における生物学的老化の加速

<要旨>
重度精神疾患(SMDs: Serious mental disorders)の患者は、自殺の影響を除外しても短命であることが知られている。この原因を全て生活習慣に帰することはできず、新しい仮説として「生物学的老化の加速」が注目されつつある。本稿では生物学的老化のバイオマーカーとなりうる、テロメア長の短縮と、最新の概念であるHorvath's clockに基づくEpigenetic ageについての話題を軸に、この仮説の現状を紹介している。精神疾患を全身に関わる疾患としてとらえ治療選択の幅を広げること、そのための研究をさらに推進していくことの重要性を筆者は強調している。

〔翻訳:佐竹 祐人〕

Physician‐assisted death in psychiatry
精神科領域における安楽死について

<要旨>
本稿は、精神疾患に対する安楽死について、諸外国の現状を紹介し、その合理性について考察している。精神疾患患者の安楽死は欧米で適応が拡大しているが、その合理性の根拠となる、「治療不可能である・改善の見込みがない」という判断や、精神疾患がなかった場合に患者がどう判断するか、という評価は専門家にも極めて困難である。また安楽死を認めることは、治療者が治療困難例を諦めてよいという拠り所になり、精神科治療制度が整備されていない国において制度を改善するための投資を阻害する恐れもある。精神疾患に対する安楽死は、利益よりも害を多く生むと筆者は強く結論づけている。

〔翻訳:吉田 和史〕

The nascent empirical literature on psychopathology and terrorism
精神病理学とテロリズムに関する、新たな文献

<要旨>
過激な暴力(violent radicalization)に関する精神病理学の知見は、近年確実に改善されている。1970〜80年代には、暴力行為を遂行した人に関する研究が中心だったが、近年では、特定のテロリスト集団に焦点を当てた実証的分析や、暴力行為の遂行念慮のある人にも焦点を当て、パーソナリティの特徴との関係やスケールによる調査研究が重要視されてきている。

〔翻訳:川竹 絢子〕

Forum – Is the Risk‐Benefit Ratio of Long - Term Antipsychotic Treatment Favorable for Most People with Schizophrenia, and what can we do to Improve it?

What is the risk‐benefit ratio of long‐term antipsychotic treatment in people with schizophrenia?
統合失調症患者の長期抗精神病薬治療のリスク対効果比について

<抄録>
統合失調症に対する持続的な抗精神病薬治療の長期的なリスク対効果比が最近問われている。本稿では、この治療法の長期的な有効性と有用性に関する文献を批判的に吟味している。 また、抗精神病薬の身体的罹病率や死亡率への影響等の望ましくない作用ならびに慢性的曝露に対する神経生物学的相関に関するエビデンスをレビューしている。リスク対効果比に影響を与える要因についてもまとめている。急性精神病症状の安定化後、短期・中期的な抗精神病薬の有効性を支持するエビデンスは、一貫している。一方、この効果が長期的に変化するという仮説を裏付けるエビデンスは不十分である。全てではないが長期コホート研究の殆どにおいて、抗精神病薬による慢性治療の間に有効性の減少が見られる。しかしながら、アドヒアランスの問題の増加を含む多大なバイアスに関する懸念があり、これらの結果は決定的とは言えない。一方で、バイアスのリスクが低い全国登録に基づく長期的な研究においては、持続的な抗精神病薬治療は有効性の点で優れている。また、持続的な抗精神病治療は、抗精神病治療が行われていない統合失調症患者と比較して、一貫して低い死亡率と関連している。しかし、慢性的な抗精神病薬の使用は代謝異常や遅発性ジスキネジアと関連する。後者は慢性的な抗精神病薬の暴露による潜在的な結果であり、明らかに望ましくない脳機能に対する臨床的影響である。他の不可逆的な神経生物学的変化の明確なエビデンスはなく、おそらくそれはドパミン過感受性によると考えられる。補助的な心理社会的介入は、リカバリーに重要であるように思われる。しかしながら、全体として既存の文献は補助的な心理社会的介入を受けている安定した個人において、50%以上の抗精神病薬減量の安全性を支持していない。結論的に、文献の批判的評価として慢性的な抗精神病薬の使用は望ましくない神経学的および代謝性の副作用と関連する可能性はあるが、寿命に与える影響を含めた長期的な有効性と有用性を支持するエビデンスが、これに反対するエビデンスを上回り、全体的に好ましいリスク対効果比を示している。しかし、統合失調症とはじめに診断された少数の人々が抗精神病治療を継続しないにもかかわらず、長期にわたり再発がみられないという知見があり、初回精神病エピソードに関する、個人レベルでの良好な予後予測因子に関するさらなる研究が必要である。

<要旨>
統合失調症に対する抗精神病薬治療の長期的なリスク対効果比に関して既存の文献を批判的に吟味している。慢性的な抗精神病薬の使用は遅発性ジスキネジアや代謝異常と関連する可能性はあるが、寿命に与える影響を含めた総合的な評価としては、全体的に好ましいリスク対効果比を示している。

〔翻訳:高松 直岐〕

Commentaries

Increasing expectations and knowledge require a more subtle use of prophylactic antipsychotics
抗精神病薬に対する期待と知識の増加により、より繊細な抗精神病薬の予防的使用が要求されている

<要旨>
2018年の抗精神病薬の使用には、患者の抗精神病薬に対する期待が高まってきていること、サイコーシスに対する知識が爆発的に増えていること、という2つの課題がある。これらの課題に対し、抗精神病薬の適切な投与量や治療対象群の設定・使用に関して患者と対話をすることで、患者の正しい抗精神病薬の理解並びに使用を目指す必要性が提唱されている。

〔翻訳:川竹 絢子〕

Long‐term antipsychotic treatment of schizophrenia: does it help or hurt over a 20‐year period?
統合失調症の長期抗精神病薬治療:20年の期間でそれは有効か有害か?

<要旨>
統合失調症に対する長期抗精神病薬治療について肯定的な結論を提示したCorrellらに対する反対意見である。Correllらの主張の限界について言及し、少なくとも8つの主要な研究において、抗精神病薬の長期使用が転帰を改善させることを証明できていないと、警告を促している。

〔翻訳:高松 直岐〕

Disease modifying effects of antipsychotic drugs in schizophrenia: a clinical and neurobiological perspective
統合失調症における抗精神病薬の疾患修飾効果:臨床と神経生物学的観点から

<要旨>
クロルプロマジンの出現は、インスリンや抗生物質の発見と並び評される、精神科治療における画期的出来事であった。それに続いて様々な抗精神病薬が開発され、副作用の害に勝る利益をもたらたしてきた。本稿では、これまでの様々な研究成果を紹介しつつ、抗精神病薬が統合失調症に対する症状緩和効果に加え、疾患修飾効果も有している可能性を紹介している。抗精神病薬の有用性については依然として疑問視する声があるが、今ある治療法の恩恵に感謝し、患者治療のために最善の使用をしなければならない、と筆者は強く主張する。

〔翻訳:佐竹 祐人〕

“Will I need to take these medications for the rest of my life?”
私はこれらの薬を一生飲み続けなくてはならないですか?

<要旨>
統合失調症に対する長期抗精神病薬治療を疑問視する立場を取っている。初発の場合は始めの1-2年間の治療継続の重要性と治療中断のリスクを強調すべきであるが、患者が希望する際には、減薬や服薬中止の可能性についても個別に相談・検討する価値があると述べている。

〔翻訳:高松 直岐〕

Is there compelling evidence that schizophrenia long‐term treatment guidelines should be changed?
統合失調症の長期治療は変更されるべきであるという強力なエビデンスはあるのだろうか?

<要旨>
統合失調症患者の治療中断による再発をいかに防ぐかは大きな関心事である。筆者は、脳体積の減少、ドパミン過感受性、初回エピソードの患者に対する指示下での治療中止といった最新の知見を紹介した上で、将来的に患者が治療を自身で選択できるようなエビデンスを提示できればと考えている。

〔翻訳:河岸 嶺将〕

Antipsychotic maintenance treatment in schizophrenia and the importance of preventing relapse
抗精神病薬による統合失調症の維持治療と再発を防ぐことの重要性

<要旨>
統合失調症の維持療法に関するCorrelらの論文はリスクとベネフィットの双方が記載されており、臨床家医はこの論文を丹念に読むべきである。本稿では維持療法は統合失調症の再発予防に関して明らかにエビデンスがあり、一方で、統合失調症再発に関するいくつかのリスクを考えると、治療者が維持療法を継続し、統合失調症再発を予防することは理にかなっており、現状では安全で忍容性のある最低限の用量で継続するのが最善であると述べられている。

〔翻訳:河岸 嶺将〕

The long‐term treatment of schizophrenia with antipsychotics: a perennial debate
抗精神病薬による統合失調症の長期治療についての終わりなき議論

<要旨>
統合失調症に対する長期の薬物治療による効果がその弊害を上回るという確固たるエビデンスはない。Correlらの言うように統合失調症はいまだにつかみどころのない概念であるが、安全性、忍容性、社会的予後の評価を統一し、個別性に沿った医療を提供するきっかけとしたい。

〔翻訳:河岸 嶺将〕

Antipsychotic drugs: challenges and future directions
抗精神病薬:課題と今後の方向性

<要旨>
依然として基本的な知識のギャップが存在する抗精神病薬について著者らは4つの課題を提示している:より長期的かつ大規模なランダム化比較試験の実施、治療反応性を予測するバイオマーカーの同定、長期服用を可能とする忍容性の確保と、疾患修飾薬の開発である。

〔翻訳:高松 直岐〕

Under‐utilized opportunities to optimize medication management in long‐term treatment of schizophrenia
統合失調症の長期的な治療における薬物療法管理を再適化する機会が活用されていない

<要旨>
統合失調症の長期的な薬物治療において、エビデンスに基づいた抗精神病薬の投与、補助治療、最適な薬物療法管理が重要となる。しかし、抗精神病薬の最適投薬量や減量、中止について、現行の診療ガイドラインでは言及されておらず、さらに方法論的困難さから、RCTやシステマティックレビュー、メタアナリシスによるエビデンスも確立されていないため、長期的な薬物療法管理がなされていない。統合失調症における長期的な薬物治療の改善を図るために、我々が知るべきことが述べられている。

〔翻訳:川竹 絢子〕

Research Reports

The ICD‐11 developmental field study of reliability of diagnoses of high‐burden mental disorders: results among adult patients in mental health settings of 13 countries
ICD-11作成に向けた疾病負荷の高い精神障害における診断の信頼性に関するフィールドスタディ:13か国の精神科医療現場の成人患者から得られた結果

<抄録>
信頼性が高く、臨床的に有用で、世界的に適用できる精神疾患の診断分類はグローバルメンタルヘルスに欠かすことのできない基盤である。世界保健機関(WHO)はその「疾病および関連保健問題の国際分類第11版」の改訂が終わりに近づいている。本研究は、世界の疾病負荷に最も大きく寄与し、極めて多くのサービス利用を必要とする精神障害―統合失調症または他の一次性精神症群、気分症群、不安または恐怖関連症群、ストレス関連症群―に関する評価者間信頼性を、研究に参加する13か国28施設で治療を受けている成人患者において評価した。二人の臨床家が同じ臨床情報をもとにそれぞれ独立してICD-11診断ガイドラインを適用する際に同じ診断に到達するか、という点に注目するConcurrent joint-rater design(同時的・共同評価デザイン)が用いられ、合計1806名の患者が339名の臨床家によって現地語で評価された。研究施設や各疾患の有病率によって重みづけがなされた診断の級内κ係数は0.45 (気分変調症)から0.88(社交不安症)に分布し、信頼性はmoderateからalmost perfect相当と考えられる。総体として、ICD-11診断ガイドラインの信頼性はICD-10ガイドラインで同様に報告されたそれよりも優れていた。これらのデータはICD-11診断ガイドラインをグローバルに実施していく上での妥当性を支持している。この研究によって得られた知見は、発刊に向けて行われる診断ガイドラインの更なるアップデートに生かされるものであり、また、専門家研修や、WHO加盟国によるICD-11の採用・施行を支援するプログラムの策定にも活用される。

〔翻訳:澤頭 亮、茅野 龍馬、高松 直岐、安藝 森央〕

 

Do mental health professionals use diagnostic classifications the way we think they do? A global survey
メンタルヘルスの専門家は我々が想像するような方法で診断分類を使用しているのだろうか?国際調査から

<抄録>
本稿は、診断を担うメンタルヘルスの専門家(主に精神科医)に対する、「ICD-11 精神および行動障害の分類」の開発の一環として行われた国際調査についての報告である。この調査では専門家のICD-10やDSMの様々な構成要素の使い方、これらの診断基準の利用に対する心構えや”残遺的な(residual)”分類(すなわち”その他の(other)”や”特定できない(unspecified)”)の使われ方について評価している。過去の調査で、ほとんどのメンタルヘルスの専門家は公式の診断分類を日々の臨床業務で使用していることが報告されているが、診断分類をどのように利用しているのか正確なことはほとんど知られていない。例えば、ほとんどの臨床家は事務的要件を満たすためだけにICD-10の診断やコードを利用していることが示唆されている。今回の調査はICD-11フィールドスタディに国際参加するプロセスとして、WHOが設立した臨床実践グローバルネットワーク(the Global Clinical Practice Network (GCPN))のメンバーである臨床家に対して行われた。92カ国の計1764人のGCPNメンバーがこの調査を完了し、1335人がICD-10に関して、429人がDSM(DSM-IV, DSM-IV-TR または DSM-5)に関しての質問に回答した。最も多く報告された診断分類の使用目的は、事務管理上の目的、または診療費請求のためであり、そのうち68.1%はしばしばまたは日常的にその目的で使用していた。半数を少し越えた(57.4%)回答者は、個別の患者を診断する際に、診断ガイドラインや診断基準が適応可能かどうかを判断するために、しばしばまたは日常的に、それらを系統的にチェックしていると報告していた。ICD-10の利用者はDSM-5の利用者に比べて、診断分類をより事務管理上の目的で使用する傾向があったが、その他の違いは軽微か、または有意でなかった。いずれの分類においても、診断、他の医療者とのコミュニケーション、教育においては「とても有用」と評価されていたが、治療法の選択や予後の決定においては「全く有用でない」と評価されていた。ICD-10は病名管理の目的ではDSM-5よりも有用であると評価された。”残遺的な(residual)”区分については、大多数の臨床家は少なくとも時々、またICD-10利用者の約12%とDSM利用者の19%は、しばしばまたは日常的に使用しており、特定の診断分類に確定できない臨床症状に対してや、より具体的な診断をつけるための十分な情報がない時に最もよく使用されていた。これらの結果は、普段の臨床現場における精神疾患の診断分類の利用についての最も包括的で役に立つ情報を提供している。

<要旨>
本稿はメンタルヘルスの専門家がICDやDSMといった診断分類を臨床の現場でどのように利用しているのかについて、WHOが設立した臨床実践グローバルネットワークのメンバーを対象にした国際調査をもとに報告している。これらの診断基準は事務管理上の目的で使用されることが多く、診断や医療者同士のコミュニケーション、教育においては有用であるが、治療法の選択や予後の決定においては有用でないと評価されているという現状が明らかになっている。

〔翻訳:吉田 和史〕

Lack of evidence to favor specific preventive interventions in psychosis: a network meta‐analysis
サイコーシスに対する特定の予防的介入の優位性を示すエビデンスの欠如:ネットワークメタアナリシス

<抄録>
臨床的ハイリスク群の患者におけるサイコーシスの予防は、最も重症な精神疾患のアウトカムを早期に改善する有望な手段となる可能性がある。しかし、それぞれの予防的介入が現在利用可能な他の治療法と比較し、より有効か否かに関する情報はまだ得られていない。本研究の目的は、サイコーシスに対する特定の予防的介入効果の一貫性と程度を定量化し、ネットワークメタアナリシスを用いて異なる治療法を比較することであった。異なる種類の介入の比較やサイコーシスへの移行を報告する、サイコーシスの臨床的ハイリスク群を対象に実施されたランダム化比較試験を同定するために、PsycINFO, Web of Science, Cochrane Central Register of Controlled Trials及び未発表の灰色文献を2017年7月18日まで検索した。2人のレビュアーが独立してデータを抽出し、ネットワークメタアナリシスによって統合された。主要転帰は異なる時点でのサイコーシスへの移行であり、二次転帰は治療受容性(何らかの原因による脱落)である。効果量はオッズ比と95%信頼区間として報告された。16の研究(患者2035人、男性57%、平均年齢20.1歳)がサイコーシス移行へのリスクについて報告していた。検証された治療はニーズに基づく介入(Needs-based intervention: NBI)であり、次の通りであった。オメガ3+NBI、ジプラシドン+NBI、オランザピン+NBI、アリピプラゾール+NBI、統合的心理療法、家族療法+NBI、D-セリン+NBI、認知行動療法French & Morrisonプロトコル(CBT-F)+NBI、CBT-F+リスペリドン+NBI、認知行動療法van der Gaagプロトコル(CBT-V)+CBT-F+NBI。ネットワークメタアナリシスでは6か月及び12か月の時点で、いずれか一つの介入がその他よりも有意に優れた有効性があるというエビデンスは示されなかった(12か月以降のデータは不十分であった)。同様に、いずれの時点においても、受容性に治療介入の差を示すエビデンスは得られなかった。不一致性の検証では有意な結果は得られず、治療介入の異なるクラスタリングやバイアスをコントロールした感度分析は結果の解釈に実質的に影響しなかった。まとめると、本研究では、現在のところ、特定の介入がサイコーシスへの移行を予防する上で特に効果的であるというエビデンスはないことが結論されている。今後さらなる実証研究が必要である。

<要旨>
本稿では、ネットワークメタアナリシスによって、サイコーシスの高ハイリスク群患者(clinical high risk for psychosis: CHR-P)への様々な予防的介入の有効性に関するエビデンスを解析している。解析の結果、サイコーシスへの移行と治療の受容性のどちらにおいても、他の治療介入を有意に上回る有効性をもつ治療介入は示されなかった。しかし、本研究は、CHR-P患者におけるサイコーシスの予防的介入の有効性を調べる世界初のネットワークメタアナリシスである、という点で大変意義がある。

〔翻訳:川竹 絢子〕

Psychopathology in 7‐year‐old children with familial high risk of developing schizophrenia spectrum psychosis or bipolar disorder – The Danish High Risk and Resilience Study ‐ VIA 7, a population‐based cohort study
家系的に、統合失調症スペクトラム障害または双極性障害の発症がハイリスクである7歳児の精神病理 - デンマークの高リスクとレジリエンスの研究から -  VIA 7、人口ベースのコホート研究

<抄録>
この研究の目的は、統合失調症スペクトラム障害(familial high risk of schizophrenia spectrum psychosis :FHR-SZ)または双極性障害(familial high risk of bipolar disorder: FHR-BP)の家系的ハイリスクである児童の精神病理学的プロファイルを、人口ベースの対照群と比較することである。我々は、デンマークの全国登録簿から、7歳児のコホートを検索し、親が統合失調症スペクトラム障害をもつ(N=202)、双極性障害をもつ(N=120)、またはそのどちらもない児童(N=200)の522人が得られた。精神病理は、児童、両親、教師を含む複数の情報提供者からの報告によって評価された。生涯のDSM-IV診断は、学童期用の感情障害と統合失調症についての調査票を用いてデータを知らない評価者によって確認された。精神病理の次元評価は、「子どもの行動チェックリスト」、「子どもの行動チェックリスト教師用」、「修正版ADHD評価尺度(ADHD-RS)」、「試験観察フォーム(TOF)、および「子どもの特性不安尺度(STAI-C)」によって行われた。現在の機能レベルは、「子どもの全体的評定尺度(CGAS)」を用いて評価された。精神科的診断の生涯有病率は、FHR-SZ群(38.7%、オッズ比3.5、95%信頼区間2.2-5.7、p <0.001)およびFHR-BP群(35.6%、オッズ比3.1、 95%信頼区間1.8-5.3、p <0.001)ともに、対照群(15.2%)と比較して有意に高値であった。FHR-SZ群は、対照群と比較して「試験観察様式」の不安の下位尺度を除く全ての尺度および下位尺度で、有意により高い精神病理を示した。FHR-BP群は、対照群と比較していくつかの尺度および下位尺度でより高い次元の精神病理を示したが、FHR-SZ群と比較すると低い水準であった。機能レベルは、FHR-SZ群(CGAS平均スコア= 68.2;95%信頼区間66.3-70.2、p <0.0001)およびFHR-BP群(CGAS平均スコア=73.7;95%信頼区間71.2-76.3、p <0.05)ともに、対照群(CGAS平均スコア=77.9;95%信頼区間75.9-79.9)と比較して低値であった。結論として、すでに7歳の時点で、FHR-SZおよびFHR-BPの児童は、対照群と比較して、広範なカテゴリーおよび次元の精神病理学的徴候のより高い出現率を示した。これらの結果は、これらの脆弱性をもつ児童に対する早期介入戦略開発の必要性を強調している。

<要旨>
本稿は統合失調症スペクトラム障害および双極性障害の遺伝負因をもつ7歳の児童を対象としたデンマークの全国登録簿を使用した大規模コホート研究である。遺伝負因のあるハイリスク児童は7歳の時点ですでにより多くの精神病理学的徴候を有しており、ハイリスク児童に対する早期介入の必要性を主張している。

〔翻訳:入來 晃久〕

Insights

Self and schizophrenia: current status and diagnostic implications
自己と統合失調症:現在の知見と診断への示唆

<要旨>
本稿は昨今の統合失調症とその関連疾患・周辺疾患の疾病分類に見られる混乱に対し、ブロイラー以来伝統的に重要視されてきた「自己」の障害に着目することの有用性を示唆している。その中でも特に統合失調症スペクトラム障害と境界性パーソナリティ障害との区別に関して、” narrative self(客観的に語られる自己: アイデンティティとして言語的かつ客観的に説明可能な自己)”と”core self(中核的自己:言語的解釈を超えたところにある主観的かつ直感的な主体そのものとしての自己)”とに着目し、core selfが障害されることが統合失調症スペクトラムの重要な特徴であることを強調している。

〔翻訳:茅野 龍馬〕

The schizophrenia spectrum anhedonia paradox
統合失調症スペクトラムにおけるアンヘドニアパラドックス

<要旨>
アンヘドニアは統合失調症患者の特徴的症状として広く知られており、統合失調症患者は喜びを感じる能力が低下していると信じられてきた。しかし、統合失調症患者の喜びを感じる能力は健常人と同等であることが報酬系についての神経生理学的研究等でわかっており、生物学的事実と表出とのギャップに対する解釈が"liking-wanting anhedonia paradox"として検討されている。一方で、よりマイルドな病態と考えられているシゾタイピーや統合失調症前駆期の若者における喜びを感じる能力の低下に関するエビデンスが増えてきており、"schizophrenia spectrum anhedonia paradox"として検討されている。本稿では、それぞれの「アンヘドニア・パラドックス」を説明しうる筆者らの解釈を提示するとともに、ふたつを同時に説明しうる考え方としてP.Meehlによるprimary anhedoniaとsecondary anhedoniaの概念を紹介している。

〔翻訳:茅野 龍馬〕

Peer delivered services in mental health care in 2018: infancy or adolescence?
2018年におけるピアサポートによるメンタルヘルスケア:黎明期か発展期か?

<要旨>
本稿はメンタルヘルスにおけるピアサポートが、黎明期と評価されていた2012年から、6年間で大きな発展を遂げたことを紹介している。コンピテンシーの標準化、ガイドラインやトレーニングプログラムの策定などを経て、特に英語圏の先進国においてピアサポートはメンタルヘルスの中心的役割を担っている。RCTやシステマティックレビューでも、特にリカバリーに関する部分においてその効果が実証され、もはや黎明期を過ぎ、発展期・成熟期に差し掛かっていることを筆者は強調している。

〔翻訳:吉田 和史〕

Hoarding disorder has finally arrived, but many challenges lie ahead
「ためこみ症」の診断がついに作られたが、なお多くの課題が待っている

<要旨>
Hoarding disorder (ためこみ症)は、専門家・当事者双方からの広い支持を受けて、DSM-5において、OCDと独立した新しい疾患として組み込まれた。ICD11での紹介も含め、今後のグローバルな周知・啓発が期待される。有病率がおよそ1.5%と言われるこの疾患は、本人および周囲の深刻な健康影響につながり得る。効果的な発見、治療、サポートが必要になるが、比較的新しい研究領域であるため、まだ科学的エビデンスが少なく、今後のさらなる研究とそれに基づく治療・サポートの制度設計が必要とされる。本稿ではHoarding disorderについて、現在の知見と今後の課題について概説する。

〔翻訳:茅野 龍馬〕

Letters to the Editor

Scaling up psychological treatments for common mental disorders: a call to action
Common mental disordersに対する心理療法の拡充について:a call to action

<要旨>
本稿は、うつ病や不安障害、ストレス関連障害などのcommon mental disordersに対する第一選択である心理療法を一部の人々しか利用できていないという世界全体の現状について、①専門家の不足、②治療へのアクセスの悪さ、③メンタルヘルスケア需要の低さ、の3つの主な理由を挙げ、それぞれに対し、①非専門化を訓練し簡便な形の心理療法を提供する、②遠隔診療を活用する、③地域全体を治療へ巻き込む、などエビデンスに基づいた解決方法を紹介している。その中でも特に治療へのアクセスの悪さを進歩の乏しい領域として取りあげ、大多数の軽度または中等度の症状を持つ患者に対する第一段階の治療と、第一段階の治療で反応が得られない重度の症状を持つ少数の患者に対する第二段階の治療から成る「段階的治療モデル(stepped care model)」の有用性を強調している。

〔翻訳:吉田 和史〕

Progress in developing a classification of personality disorders for ICD‐11
ICD-11のパーソナリティ障害分類の進展

<要旨>
本稿ではICD-11におけるパーソナリティ障害の分類にあたって、ICD-10での問題点や論点を紹介している。パーソナリティ障害の中核的な診断ガイドラインに自己機能を組み入れること、より豊かで臨床的有用性の高い重症度や特徴修飾子、「境界型」とされるための修飾子といった、タスクグループによって2017年9月に作成された提案を紹介している。

〔翻訳:入來 晃久〕

Neurocognitive disorders in ICD‐11: the debate and its outcome
ICD-11における神経認知障害:議論とその結果

<要旨>
本稿ではICD-11における神経認知障害の議論とその結果について述べている。草稿の段階で認知症が「精神、行動、神経発達の障害」の章ではなく「神経系の疾患」の章に配置され、各国から抗議が上がった。WHOとの世界的な議論の結果、臨床的な有用性を考慮に入れて、認知症は「精神、行動、神経発達の障害」の章に戻された。

〔翻訳:入來 晃久〕

Digital interventions in severe mental health problems: lessons from the Actissist development and trial
重度のメンタルヘルスの問題へのデジタル介入:Actissistの開発と試行の教訓

<要旨>
本稿では、再発を繰り返す重度のメンタルヘルスの問題に対し、素早く良質の治療を提供するための革新的、タイムリーかつ効果的なソリューションとしてのデジタル介入について論じている。早期精神病の苦痛を対象とした、精神病の認知モデルに基づいて作成されたスマートフォンアプリActissistを紹介し、今後の課題を論じている。

〔翻訳:入來 晃久〕

Rethinking progress and challenges of mental health care in China
中国のメンタルヘルスケアにおける進展と課題の再考

<要旨>
中国の急速な社会経済発展を背景に起きているメンタルヘルスケアの発展と課題について言及した論文である。2004年以来の精神科患者の地域ケアモデルの推進政策、2013年に施行された精神科患者の人権擁護に関する法律などによる進歩を紹介する一方で、地方と都市部の治療資源の格差、疫学的調査の不備、一人っ子政策の影響による高齢化への対応策についての乏しさを問題としてあげ、精神科医の増員とデジタルアプローチの活用を政府が計画していることを述べている。

〔翻訳:安藝 森央〕

Psychotic experiences as an independent risk factor for angina pectoris in 48 low‐ and middle‐income countries
48の低~中程度の所得の国々では精神病症状の既往が狭心症の独立したリスク因子になりうる

<要旨>
統合失調症患者は心血管系疾患(CVD)によって一般人口より10-20年寿命が短いが、精神病症状の既往(生涯罹患率で7.2%)のみで精神病診断に至らなかったもの(PE)でもリスク因子になるというエビデンスが出始めている。筆者は48の低~中程度の所得国のデータを解析し、PEは狭心症の独立したリスク因子であることを示し、また、若年~中年ではより関連が大きいため、若年者へのPEのスクリーニングによってCVDを予防できるのではないかと提案している。

〔翻訳:安藝 森央〕

Feasibility of a guided self‐help intervention to reduce psychological distress in South Sudanese refugee women in Uganda
ウガンダにおける南スーダン難民女性の心理的ストレスを軽減させる自助的介入ツールの実行可能性について

<要旨>
本稿では、WHOが開発したSelf-Help Plus(SH1)というツールを用いた、難民キャンプのような資源の少ない場所でも実行可能な自助的心理的介入について報告している。K6およびWHO-5にて有意に心理的ストレスの改善を認め、研究としても妥当性および信頼性を欠くことはなかった。SH1は難民や厳しい状況下での心理ストレスを抱える人たちについて、測定可能な根拠に基づく心理的介入となりうると主張する。

〔翻訳:安藝 森央〕

WPA News

Mainstreaming psychiatry: implementing the WPA Action Plan 2017‐2020
WPAアクションプラン2017-2020の実施を経て、精神医学を主流にする

<要旨>
WPAアクションプランでは、精神医学が世界中の人々の精神保健の向上にますます貢献するための戦略を展開している。紛争や戦争など困難な状況にある子供や若者の精神保健を向上するプログラムのcitiesRISEは2017年に発足し、世界の大機関との連携を持ってさらなる重要なプロジェクトを進めるプラットフォームとして稼働している。今後も世界の困難地域の精神保健を向上する地域に根ざしたプロジェクトを協働していくという声明である。

〔翻訳:澤頭 亮〕

WPA Position Statement on Banning the Participation of Psychiatrists in the Interrogation of Detainees
抑留者の尋問に精神科医は関わってはいけないというWPAの意思表明

<要旨>
本稿では、抑留者の尋問場面において精神科医のとるべき立場について、2017年10月のWPA総会で承認された内容に関して述べられている。拷問や抑留者への尋問に関するいかなる状況において精神科医が参加してはいけない。

〔翻訳:澤頭 亮〕

The WPA website: rich in content, excellent in performance
WPAのウェブサイト:その豊富な内容と高いパフォーマンス

<要旨>
WPAのウェブサイトは、徹底的なアップデートを続けており、スマートフォンやタブレットからも容易に閲覧可能である点が魅力的だ。今や、世界中から多くの人々が訪れている。本稿では、ウェブサイト上で閲覧可能な項目に関しての詳細な説明がなされている。また、モバイルアプリ、WPAユーチューブチャンネルなどの登場も予告されている。

〔翻訳:澤頭 亮〕

The contribution of the WPA to the production of the ICD‐11 chapter on mental, behavioural or neurodevelopmental disorders
ICD-11精神、行動または神経発達の障害の作成におけるWPAの貢献

<要旨>
WPAは、ICD-11精神、行動または神経発達の障害の作成において率先してWHOをサポートした。WPA会員の組織がWHOとの共同研究に参画し、その結果が章の作成に大きな影響を与えた。また、その後のフィールドスタディにも参加している。WPAのエキスパートらもICD-11関連の様々なワーキンググループの顧問を務め、学会でも様々なシンポジウムが開かれている。本誌World PsychiatryでもICD-11関連の様々な論文が紹介されており、情報提供に大きく貢献している。

〔翻訳:澤頭 亮〕

翻訳協力者一覧

【監訳】
 秋山 剛    NTT東日本関東病院

【翻訳】
 認定NPO法人  日本若手精神科医の会(JYPO)会員 http://jypo.or.jp/
 澤頭 亮     北海道大学大学院医学研究院 神経病態学分野精神医学教室
 茅野 龍馬  WHO(世界保健機関)健康開発総合研究センター
 高松 直岐  多摩あおば病院
 川竹 絢子  京都大学医学部医学科5年
 安藝 森央  公立豊岡病院組合立 豊岡病院 精神科
 入來 晃久  大阪精神医療センター
 河岸 嶺将  千葉県こども病院
 佐竹 祐人  大阪急性期・総合医療センター 精神科
 吉田 和史  独立行政法人 国立病院機構 琉球病院
 松本 ちひろ 公益社団法人 日本精神神経学会

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