公益社団法人 日本精神神経学会

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学会活動|Activities

被災自治体(県、市町村)職員の健康に関する緊急要請

更新日時:2015年2月4日

日本精神神経学会理事会
日本精神神経学会東日本大震災対策本部

東日本大震災に襲われた自治体(県、市町村)の職員のこころの健康を含む健康の保持に、国、県、市町村の関係者は十分な対応を行う必要がある。 被災自治体の職員に健康問題が生じることは、神戸の震災に際して既に指摘されており、中越大震災に際しては調査が行われた。 (例:中越大震災が職員の健康に与えた影響に関する報告書 新潟県総務管理部人事課地方職員共済組合新潟県支部) また、災害時における保健師のメンタルヘルスについても、報告がある。 (例:災害時支援活動を行う保健師のメンタルヘルスと精神的支援、災害精神保健活動における役割分担と連携)

今回の東日本大震災は、被害の甚大さにおいて、過去の震災をはるかにしのぐものである。 特に市町村の職員においては、震災により自分の家族や同僚を失ったり、家屋が損壊するなど著しいストレスを受けている場合がある。 それにも関わらず、十分な休養をとらないまま支援の第一線で活動し、さらに通常業務が加わるために、過重労働が長期間に渡っている例が多い。

日本精神神経学会は、職員が心の健康を含む健康を保持できるように、県、市町村が、以下の対応を行うことを要請する。

  1. 職員の時間外労働の限度に関する基準を遵守する。
  2. 職員の休養の必要性について、住民に啓発活動を行う。
  3. 職員に、こころの健康を含む健康診断を行う。
  4. 健康に問題を生じた職員が相談できる体制を整える。
  5. 必要な職員の増員を行う。特に、県保健所地域担当保健師および市町村保健師の増員などを行ない、被災自治体の保健師の健康被害を防ぐ。

    また、国が、以下の対応を行うことを要請する。
  6. 県、市町村が、必要な職員の増員を行なえるように、十分な、財源および人的資源の確保と提供、その他の支援を行う。 特に、放射能問題が発生している地域への支援は、国が責任をもって主導する。

日本精神神経学会は、被災した県市町村の職員に、過労疾病、過労死が発生しないように、国、県、市町村が、 この問題の重要性を認識して対応を行うことを強く求めると共に、メディアや被災住民を含めた社会全体から、 この問題への理解や協力が得られるように、啓発、支援活動を進める。

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