公益社団法人 日本精神神経学会

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学会活動|Activities

Volume 20, Number 1, February 2021

更新日時:2022年2月28日

EDITORIALS

■W.T. CARPENTER. Primary psychosis: more to know, much more to do. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 1–2.

Primary psychosis: more to know, much more to do
一次性精神病:知るべきこと、すべきことは多い

<要旨>
今号のWorld Psychiatry掲載の論文「The clinical characterization of the patient with primary psychosis aimed at personalization of management」において、Majなど精神病研究のリーダー18人が、「治療的な関与を個別化するために考慮しなければならない、一次性精神病患者の臨床的特性として顕著な領域」を体系的に説明している。当論文は、様々な精神科医療の関係者にとってこのガイドがいかに有用であるかについても記載している。例えば臨床ケアプログラムの責任者は、治療的な関与や治療において提供しなければならない専門性の範囲を明確に把握でき、包括的で個別的なケアに必要な体制の施行を求めるロビー活動にも、この論文を役立てられる可能性がある。

〔翻訳:福島 弘之〕
 

■L. JONES, P. VENTEVOGEL. From exception to the norm: how mental health interventions have become part and parcel of the humanitarian response. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 2–3.

From exception to the norm: how mental health interventions have become part and parcel of the humanitarian response
例外から標準へ:メンタルヘルスへの介入がいかにして人道的対応の要となったか

<要旨>
人道的精神医学はかつてPTSDを主な対象とし、その予防や対処のための個別・例外的な医療的介入であった。近年では、必要不可欠なメンタルヘルスサービスの提供は、専門家でなくとも行うものとの認識に変わってきている。十分なトレーニングとスーパーバイズを受ければ誰もがメンタルヘルスサービスを提供でき、簡単に学べる心理的な簡易介入も登場している。ここ10年では様々な政策文書やガイドラインにメンタルヘルスと心理社会的支援が盛り込まれ、標準的なものとなってきている。

〔翻訳:入來 晃久〕

 

SPECIAL ARTICLES

■M. MAJ, J. VAN OS, M. DE HERT ET AL. The clinical characterization of the patient with primary psychosis aimed at personalization of management. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 4–33.

The clinical characterization of the patient with primary psychosis aimed at personalization of management
一次性精神病患者の臨床的特徴による治療的関与の個別化

<抄録>
現在、一次性精神病患者への治療的関与は世界中で一般化されており、ほとんどの症例で抗精神病薬が処方され、第一世代よりも第二世代の抗精神病薬が好まれる。認知行動療法には有効性を裏付けるエビデンスがあるものの、大多数の国ではほとんど行われていない。心理社会的な介入は、慢性期の症例では行われることもあるが、そのほとんどが研究による検証はされていない。
エビデンスに基づいた家族への介入や就労支援プログラムは、一般診療ではあまり実施されない。一次性精神病患者は心血管疾患や糖尿病のリスクが高いという見解は広く共有されているが、適切に対処されることは多くない。一次性精神病患者への治療的関与を個別化すべきという見解は大多数の臨床家に支持されているが、大半の臨床現場では個別化されていないか不十分である。
多くの精神保健サービスでは「リカバリー志向」を目指しているとするが、日常診療においてエンパワーメント、アイデンティティ、意味付けやレジリエンスなどに焦点が当てられていることは少ない。本論文は、このような状況に取り組むことを目的としている。また、一次性精神病患者への治療的関与を個別化しようとする際に、患者の特徴で考慮すべき重要な領域について体系的に述べる。 
具体的には、陽性症状と陰性症状、その他の精神病理的要素、発症と経過、神経認知と社会的認知、神経発達指標、社会的機能、生活の質と満たされていないニーズ、臨床病期、先行する精神疾患と併発する精神疾患、身体的合併症、家族歴、産科合併症歴、初期および最近の環境曝露、保護因子とレジリエンス、内在化したスティグマなどである。
それぞれの領域について、臨床現場で使用することを考慮した簡便な評価手段が作成されており、標準化された意思決定ツールとして用いることができる。一次性精神病への治療的関与については、有効性がエビデンスによって裏付けられている利用可能なすべての治療手段を考慮に入れ、個々の患者の臨床的特徴に基づいてそれらを選択・調整し、雇用、住居、セルフケア、社会的関係、教育などの面で患者のニーズに対応し、アイデンティティ、意味、回復力に焦点を当てることが推奨される。

<要旨>
一次性精神病患者への治療的関与を個別化するには、個々の患者の特徴を評価することが必要である。一次性精神病と診断された患者の特徴を検討する際、考慮すべき領域ごとに評価すべき内容と根拠が詳細に記載されている。洗練された診断ツールを取り入れて患者の特徴を把握することは臨床上有用であると述べている。しかし、こういった科学的根拠だけでなく患者の独自性も考慮に入れなければならない。さらに、患者との意思決定を共有し良好な関係の構築することが実際のニーズに対応した臨床に繋がり、より良いアウトカムが得られるであろうと述べている。

〔翻訳:俊野 尚彦〕

 

■M.B. FIRST, W. GAEBEL, M. MAJ ET AL. An organization- and category-level comparison of diagnostic requirements for mental disorders in ICD-11 and DSM-5. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 34–51.

An organization‐ and category‐level comparison of diagnostic requirements for mental disorders in ICD‐11 and DSM‐5
ICD-11とDSM-5における精神障害の診断要件の構成・カテゴリーレベルでの比較

<抄録>
2013年、米国精神医学会(APA)は、「精神疾患の診断・統計マニュアル」(DSM-5)の第5版を発表した。2019年には、世界保健総会で国際疾病分類第11版(ICD-11)が承認された。2つのスポンサー組織の優先事項と構成要素は大きく異なるが、精神疾患の単一の統一された分類があれば、この分野にとって有益であるとしばしば示唆されてきた。
 ICD-11とDSM-5の開発において、世界保健機関(WHO)とAPAは、ICD-DSM調和組織を任命するなど、2つのシステムを調和させるための努力を行った。本稿では,これらの調和のための努力の成果を評価するとともに,臨床家,研究者,政策立案者のために,構成・疾病レベルの両方における2つのシステムの違いを説明するガイドを提供した。精神障害の2つの分類の構成は実質的に類似している。
DSM-5にはないICD-11の障害カテゴリーは19あり、ICD-11にはないDSM-5の障害カテゴリーは7つあった。ICD-11の臨床記述・診断ガイドライン(CDDG)の「必須機能」セクションとDSM-5の基準セットを比較したところ、両システムにみられる103の診断項目があった。その結果、20疾患(19.4%)を「大きな違い」、42疾患(40.8%)を「定義上の小さな違い」、10疾患(9.7%)を「DSM-5ではより詳細な定義がなされているため、小さな違い」、31疾患(30.1%)を「本質的に同じ」と評価した。「大きな違い」や「小さな違い」の重要なものについては、その理由と関連する根拠を含めて詳細に説明している。ICDとDSMは、ICD-8とDSM-II以降のどの時期よりも接近している。違いは主に、2つの診断システムの優先順位と用途の違い、およびエビデンスの解釈の違いに基づいている。2つのアプローチは、実質的に異なるが、そのためにかえって、有効性と有用性の実証的な比較を可能にし、この分野の進歩に貢献することができると考えられる。

<要旨>
著者はWHOとAPA合同のICD-DSM調和組織による両システム間の違いを説明する試みを本稿において紹介した。本稿において、両システム間の「大きな違い」や「小さな違い」の重要なものについて、根拠を示しながら詳細に解説している。

〔翻訳:河岸 嶺将〕
 

PERSPECTIVES

■K. RITCHIE, D. CHAN. The emergence of cognitive COVID. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 52–53.

The emergence of cognitive COVID
COVID-19感染による認知機能障害の出現

<要旨>
著者はCOVID-19感染後の認知障害の問題について指摘し、COVID-19感染後の75%以上にエピソード記憶、集中力、注意力の低下を認めたと指摘している。著者はCOVID-19感染が長期的な認知障害や認知症のリスクに与える影響に注目し、薬理的・公衆衛生的な戦略を立て予防的な発見と介入を行うことが必要であると指摘している。

〔翻訳:河岸 嶺将〕

 

■N. GREENBERG, L. RAFFERTY. Post-traumatic stress disorder in the aftermath of COVID-19 pandemic. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 53–54.

Post‐traumatic stress disorder in the aftermath of COVID‐19 pandemic
COVID-19パンデミックの影響による心的外傷後ストレス障害について

<要旨>
著者はCOVID-19パンデミックの影響によるPTSD発症について指摘し、厳しい現実に直面する集中治療室からの生存や、特に、大切な人を感染させてしまい、その人が亡くなってしまった等の倫理的な傷つきがある場合にPTSDが発症しやすいと指摘している。これに加え、PTSDに対してトラウマに焦点を当てた認知行動心理療法と眼球運動による脱感作・再処理法など有効な対応を説明し、早期の介入、予防、普及が優先課題とされるべきであると述べている。

〔翻訳:河岸 嶺将〕
 

■M. DE HERT, V. MAZEREEL, J. DETRAUX ET AL. Prioritizing COVID-19 vaccination for people with severe mental illness. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 54–55.

Prioritizing COVID‐19 vaccination for people with severe mental illness
重症精神疾患患者へのCOVID-19ワクチンの優先接種の重要性について

<要旨>
ワクチンの公平な配分は現在喫緊の課題であり、重症化リスクの高い人口への優先接種が行われている。重度の精神疾患を持つ人は、COVID-19への罹患率やCOVID-19による死亡率のリスクが高いことが明らかになっている。筆者は、他の医療従事者にこれらの知見を確実に認識してもらうこと、重度の精神疾患を持つ人々にも優先的にCOVID-19ワクチンが行き届くよう政府や公衆衛生政策機関に訴えることが精神科医の務めであると主張している。

〔翻訳:清水 俊宏〕

 

■J. HOLT-LUNSTAD. A pandemic of social isolation? World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 55–56.

A pandemic of social isolation?
社会的孤立のパンデミック?

<要旨>
COVID-19感染症の世界的なパンデミックにより社会的な孤立や孤独が増加している。社会的な孤立や孤独は、自殺や家庭内暴力といった短期的な影響、心血管疾患や脳卒中などの罹患や死亡など長期的な影響、さらに物質使用、睡眠不足、食生活の乱れなど、私たちの精神的・肉体的な健康に影響する。COVID-19感染のリスクと、社会的な孤立や孤独のリスクの両方を予防・軽減するために、社会的接触の質を維持・促進するよう政策を見直す必要性を述べている。

〔翻訳:入來 晃久〕

 

FORUM – HIERARCHICAL MODELS OF PSYCHOPATHOLOGY: EVIDENCE, CONTROVERSY AND FUTURE DIRECTIONS

■B.B. LAHEY, T.M. MOORE, A.N. KACZKURKIN ET AL. Hierarchical models of psychopathology: empirical 57 support, implications, and remaining issues. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 57–63.

Hierarchical models of psychopathology: empirical support, implications, and remaining issues
精神病理の階層的モデル:経験的裏付け、研究の意義、残された課題

<抄録>
現在、心理学や精神医学の分野では、心理的な問題の概念化、研究、治療を変えようとする変革が進められている。実際最近の論文では、DSMやICDのカテゴリー分類に代わって、精神病理的な次元に基づく包括的な分類法が提案されている。提案された次元分類法では、精神病理を階層的に整理し互いに相関する次元として描かれており、表現型のレベルでも支持されている。複数の研究により、階層の最上位にある精神病理の一般因子と下位にある特異因子の両方が、様々な機能的な経過を予測することが示されている。児童・思春期の双子の代表サンプルの大規模データを分析したところ、精神病理の次元間の表現型の相関は、多くの家族因子が多面的に作用した結果として見られるという因果関係が仮説として示唆された。つまり、ほとんどの遺伝子変異や共有環境因子は、精神病理の個々の次元ではなく、複数の次元のリスクに非特異的に影響を与えるという仮説である。対照的に、個人に特有の経験は、個々の次元に関連する傾向がある。この階層的な因果関係の仮説は、大規模な家族研究と分子遺伝学的研究の両方で支持されている。現在の研究は3つの問題に焦点を当てている。第一に、原因と表現型の階層を研究するのに適した統計モデルが確立されていないこと。第二に、精神病理学的次元の階層間の神経生物学的な相関関係は、目覚ましい進展があるものの未だ部分的にしか説明されていないこと。第三に、階層モデルは臨床的に重要な意味を持つ可能性があるが、エビデンスに基づいた臨床的介入を推奨するための十分な研究が行われていないことである。

<要旨>
精神疾患をカテゴリー分類ではなく精神病理に基づく階層的次元分類によって捉えることは経験的に支持されているものの、精神病理の一般因子と特異因子の解析に対する包括的な統計モデルが未完成であると指摘している。その上で統計モデルの1つであるBifactorモデルによって階層的次元分類を解析する意義・限界・得られた知見を紹介している。最後に、階層的次元分類が臨床現場で使用される段階には至っていないが、精神疾患の概念化や治療研究において有用であると述べている。

〔翻訳:九野(川竹) 絢子〕

 

Commentaries

■M.A. WASZCZUK. The utility of hierarchical models of psychopathology in genetics and biomarker research. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 65–66.

The utility of hierarchical models of psychopathology in genetics and biomarker research
遺伝学およびバイオマーカー研究における精神病理の階層モデルの有用性について

<要旨>
本稿では、精神病理に基づく階層的分類が遺伝学の観点からも有用であることを論じている。具体的には、精神疾患に対する遺伝負因の連続性や精神病理の遺伝的構造が明らかになることで、ゲノムワイド関連研究予測につながる。さらには、神経生物学的な研究も促進し精神科バイオマーカー開発につながる可能性にも言及している。

〔翻訳:九野(川竹) 絢子〕
 

■M. ZIMMERMAN. Why hierarchical dimensional approaches to classification will fail to transform diagnosis in psychiatry. world Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 70–71.

Why hierarchical dimensional approaches to classification will fail to transform diagnosis in psychiatry
階層的な次元分類アプローチが精神医学における診断の変革に失敗する理由

<要旨>
本稿では階層的多元的分類法(HiTOP)などの精神病理学の次元分類アプローチの利点も認めた上で、診断法の違いによる患者の転帰の改善を証明することが難しいことや、非専門家が使用することが難しいこと、アメリカ精神医学会の収益の問題などを挙げて、現在のカテゴリー診断にとって代わることはないであろうと述べている。

〔翻訳:入來 晃久〕

RESEARCH REPORTS

■O.D. HOWES, T. WHITEHURST, E. SHATALINA ET AL. The clinical significance of duration of untreated psychosis: an umbrella review and random-effects meta-analysis. world Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 75–95.

The clinical significance of duration of untreated psychosis: an umbrella review and random‐effects meta‐analysis
精神病未治療期間の臨床的意義:アンブレラレビューとランダム効果メタアナリシス

<抄録>
精神病未治療期間(DUP)が長いと転帰が悪化するという考え方は、世界中の精神保健医療サービスに大きな変化をもたらし、過去30年以上にわたり多くの研究者の関心を集めてきた。しかし、この考えを裏付けるエビデンスの強さは不明である。この問題を解決するため、我々は入手可能なメタアナリシスの包括的なレビューを行い、一次研究のランダム効果メタアナリシスを実施した。MEDLINE、Web of Science、PsycINFO、EMBASEを開設時から2020年9月3日まで検索し、統合失調症スペクトラム障害、初回エピソード精神病、感情性および非感情性精神病の患者を対象とした研究に関連したメタアナリシスを同定した。13件のメタアナリシスが含まれ、129件の個別研究に対応し、総サンプルサイズは25,657人であった。これらのメタアナリシスの中には、統計的仮定に違反している可能性があるものを認めた。そこで、新たに主要研究のランダム効果メタアナリシスを行った。DUPと各転帰との関連性は、標準化された分類に従って、確実、ほぼ確実、可能性あり、証拠不十分、有意でないもの、に格付けされた。初診時には、DUPの長さと陰性症状の重さ(β=-0.07、p=3.6×10-5)、過去の自傷行為の可能性の高さ(オッズ比、OR=1.89、p=1.1×10-5)との関係が示唆された。追跡調査では、DUPの長さと陽性症状の重さ(β=-0.16、p=4.5×10-8)、陰性症状の重さ(β=-0.11、p=3.5×10-10)、寛解の可能性の低さ(OR=2. 16, p=3.0×10-10)、DUPの長さと全機能の低下(β=-0.11, p=2.2×10-6)および重度のグローバル精神病理(β=-0.16, p=4.7×10-6)との関係を示唆するエビデンスが得られた。前向き研究に限定した場合も同様の結果であった。これらのエフェクトサイズは臨床的に意味を有しており、4週間のDUPは1週間のDUPに比べてフォローアップ時の症状が20%以上重症化すると予測される。以上のことから、DUPは初診時の重要な予後因子であり、病気の経過とともに臨床的に重要な転帰を予測すると結論づけた。さらに、DUP研究の概念的な問題や現在のエビデンスの方法論的な限界について述べ、今後の研究のための提言を行った。

<要旨>
本稿では、精神病未治療期間(DUP)の長さと転帰について現在までに入手可能なメタアナリシスを用いたアンブレラレビュー及びランダム効果メタアナリシスによる提言が行われている。初診時のDUPの長さは陰性症状の重症度や過去の自傷行為の可能性と関連し、その後の陽性症状及び陰性症状の重症度・寛解率・全機能の低下・精神病理的重症度とも相関する結果となり、DUPは臨床的に重要な転帰を予測すると結論づけられている。

〔翻訳:下島 里音〕
 

■H.G. PRIGERSON, P.A. BOELEN, J. XU ET AL. Validation of the new DSM-5-TR criteria  for prolonged grief disorder and the PG-13-Revised (PG-13-R) scale. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 96–106.

Validation of the new DSM‐5‐TR criteria for prolonged grief disorder and the PG‐13‐Revised (PG‐13‐R) scale
新しいDSM-5-TRの遷延性悲嘆障害の診断基準とPG-13-Revised(PG-13-R)尺度の妥当性の検証について

<抄録>
病的な悲嘆の概念は、少なくともフロイトの「喪とメランコリー」にまで遡るが、これを明確な精神疾患として認識することには反対があった。しかし、遷延性悲嘆障害(prolonged grief disorder:PGD)特有の症状(故人への思慕、意味の喪失やアイデンティティの崩壊といった愛着の障害)が持続し、苦痛と機能障害をもたらし、そのための治療を必要とすることを示す証拠によって、反対を乗り越えました。このような証拠に基づき、米国精神医学会の総会では、DSM-5-TRにPGDを新たな精神疾患として含めることが決議されました。我々は,イェール大学(N=270),ユトレヒト大学(N=163),オックスフォード大学(N=239)で実施された調査データを用いて,新しいDSMでのPGDの基準と,この基準に適合するように設計されたPG-13尺度の適合版であるPG-13-Revised(PG-13-R)の妥当性を検証した。ベースライン評価は死別後12~24カ月目に行い、フォローアップ評価はその5.3~12.0カ月後に行った。その結果、PG-13-R悲嘆症状は一次元的な構成要素であり、高い内的整合性を有していることが示された(エール大学、ユトレヒト大学、オックスフォード大学のそれぞれにおいて、クロンバックのα=0.83、0.90、0.93)。
DSM におけるPGDの診断は、ベースラインにおいて、心的外傷後ストレス障害(phi=0.12)、大うつ病性障害(phi=0.25)、全般性不安障害(phi=0.26)とは異なるものであった。本診断の経時的な安定性は優れていた(r=0.86、p<0.001)。PG-13-Rにおける閾値症状の30のサマリースコアと、DSMにおけるPGDの症状基準とのカッパ一致度は、データセット全体で0.70~0.89であった。イェール大学、ユトレヒト大学、オックスフォード大学のデータセットでは、ベースライン時のDSM におけるPGDの診断とベースライン時のPG-13-Rの症状サマリースコアの両方が、ベースライン時およびフォローアップ時の大うつ病性障害、心的外傷後ストレス障害および/または全般性不安障害、自殺念慮、QOLの低下、機能障害の症状および診断と有意に関連していた(p<0.05)。全体として、DSM-5-TRにおけるPGDの診断基準とPG-13-Rは、不適応な悲しみの反応を示す遺族を分類するための信頼性と妥当性の高い基準・尺度であることがわかった。

<要旨>
悲嘆はこれまで精神疾患とされてこなかったが、通常予想されるよりも長期間持続し苦痛と機能障害を伴う悲嘆が、専門家による治療を必要とすることを示す証拠が蓄積され、米国精神医学会総会において遷延性悲嘆障害(PGD)がDSM-5-TRで新たに精神疾患として含まれることが決定した。本論文では、新しいDSMにおけるPGDの診断基準と,PG-13-Revised(PG-13-R)の妥当性を検証し、どちらも信頼性・妥当性が高いと述べている。

〔翻訳:福島 弘之〕
 

■M.A.P. BLOOMFIELD, T. CHANG, M.J. WOODL ET AL. Psychological processes mediating the association  107 between developmental trauma and specific psychotic symptoms in adults: a systematic review and meta-analysis. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 107–123.

Psychological processes mediating the association between developmental trauma and specific psychotic symptoms in adults: a systematic review and meta‐analysis
成人における発達性トラウマと特定の精神病症状との関連性を媒介する心理的プロセス:系統的レビューとメタアナリシス

<抄録>
小児期や青年期に心理的なトラウマを経験すると、大人になってからの精神病のリスクが高まると言われている。しかし、発達性トラウマがどのようにして精神病症状への脆弱性を引き起こすのかについては、明確な知見が得られていない。これに関与する心的プロセスを理解することは、予防的介入や治療法の改善を行う上で非常に重要である。我々は,文献を系統的にレビューし,メタ分析の手法を用いて知見をまとめながら、発達性トラウマと特定の精神病体験(幻覚,妄想,被害妄想)との関連における心理的プロセスの潜在的な役割を確立せんとした。22件の研究が組み入れ基準に合致した。その結果、発達性トラウマと幻覚の間には、解離、情動調節障害、PTSD症状(回避、精神的麻痺、過覚醒)が媒介的役割を果たしていることがわかった。また、発達性トラウマと妄想やパラノイアとの間には、ネガティブなスキーマ(心的に構造化された意味づけ)が介在しているというエビデンスがある。これまでの多くの研究は質が低く、この分野の研究はほとんどが横断研究に限られている。我々の発見は、発達性トラウマから大人になってからの精神病現象に発展する上で、明確な心理的経路が存在する可能性を示唆している。臨床家は、精神病患者に発達性トラウマの既往歴を注意深く尋ね、患者を解離、情動調節障害、PTSD症状でスクリーニングする必要がある。発達性トラウマと精神病の関連性の根底にあるバイオサイコソーシャルなメカニズムを完全に理解するためには、神経認知評価を含む前向きデザインの研究が必要である。

<要旨>
筆者はこの研究において、1639名の患者群、23154名の健常群が含まれた系統的レビュー・メタ解析を行い、発達性トラウマと幻覚、妄想、パラノイアを仲介する症状について解説している。複雑性PTSDにみられる症状群のみならず、否定的な他者観念などの「スキーマ」が幻覚・パラノイアを媒介することなども述べられている。発達性トラウマを持つ成人の精神病症状と、複雑性PTSDとの関連、及びその治療方向性についての研究が、今後必要性を増すことを指摘する。

〔翻訳:安藝 森央〕
 

■Q. WANG, R. XU, N.D. VOLKOW. Increased risk of COVID-19 infection and mortality in people with mental disorders: analysis from electronic health records in the United States. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 124–130.

Increased risk of COVID‐19 infection and mortality in people with mental disorders: analysis from electronic health records in the United States
精神障害者におけるCOVID-19感染および死亡リスクの増加:米国における電子カルテデータからの分析

<抄録>
精神障害の既往がある人は、COVID-19感染のリスクが高く、感染により有害な転帰がもたらされる可能性が高いのではないかという懸念が表明されているが、この点に関する体系的なリサーチエビデンスはない。本研究では、最近(過去1年以内)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、双極性障害、うつ病、統合失調症を含む精神疾患と診断されたことが、COVID-19感染のリスク、およびそれに関連した死亡率と入院率に与える影響を評価した。米国の50州全国にまたがる360の病院、31万7,000の医療機関にかかる6,100万人の成人患者の電子カルテのデータベースを、2020年7月29日までの期間において分析した。最近、精神疾患の診断を受けた患者は、COVID-19感染のリスクが有意に高く、その影響はうつ病(AOR(調整オッズ比)=7.64、95%CI:7.45~7.83、p<0.001)と統合失調症(AOR=7.34、95%CI:6.65~8.10、p<0.001)で最も大きかった。直近で精神疾患の診断を受けた患者の間で、アフリカ系アメリカ人は白人に比べてCOVID-19感染の確率が高く、うつ病では最も強い民族間格差が見られた(AOR=3.78、95% CI: 3.58-3.98、p<0.001)。精神障害のある女性は、男性に比べてCOVID-19感染の確率が高く、ADHDを持つ患者群で最も強い男女差が見られた(AOR=2.03、95% CI: 1.73-2.39、p<0.001)。精神疾患とCOVID-19感染の両方の診断を最近受けた患者では、死亡率が8.5%(精神疾患のないCOVID-19患者では4.7%、p<0.001)、入院率が27.4%(精神疾患のないCOVID-19患者では18.6%、p<0.001)であった。これらの結果から、最近、精神障害と診断された人は、COVID-19感染のリスクが高く、アフリカ系アメリカ人や女性ではさらに悪化すること、また、感染による有害な転帰のうち、いくつかにおいて頻度が高くなることが明らかになった。この結果は、COVID-19感染に対する調整可能な脆弱性因子を特定して対処し、この集団において医療提供が遅れることを防ぐ必要性を強調するものである。

<要旨>
本稿では過去1年以内に精神疾患と診断された人に対する、COVID-19の感染リスクや有害な転帰を米国全国規模の電子カルテデータを用いて評価している。その結果、精神疾患の診断を受けた患者では感染リスクが高く、特にアフリカ系アメリカ人や女性においてその影響が大きいことが示された。また、精神疾患があるCOVID-19感染者では死亡率や入院率も高く、筆者らは、精神疾患のある患者層において医療提供が遅れることがないようにする必要があると結論付けている。

〔翻訳:北岡 淳子〕
 

 

INSIGHTS

■D. SILOVE. Challenges to mental health services for refugees: a global perspective. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 131–132.

Challenges to mental health services for refugees: a global perspective
難民に対する精神保健サービスへの取り組み:グローバルな視点から

<要旨>
精神保健・心理社会的支援(MHPSS)の実施が難民の人道支援活動に大きく貢献する可能性が明らかになりつつある。しかし、世界に約8000万いる難民の約30%が精神的な問題を抱えているといわれており、資源が圧倒的に不足していることに加えて、さまざまな要因で支援の対象者が一部に偏りやすい傾向がある。MHPSSの計画にあたっては、人権と公平性の基本原則が守られていること、必要としているすべての人に資源を公平に分配することが必要であると述べている。

〔翻訳:俊野 尚彦〕
 

■M. VERKUYTEN. Public attitudes towards migrants: understanding cross-national and individual differences. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 132–133.

Public attitudes towards migrants: understanding cross‐national and individual differences
国家間や個人間で多種多様な「移民に対する国民の態度」について

<要旨>
本稿では、移民に対する国民の態度が社会的な問題になっていることを論じている。移民の環境適応やメンタルヘルスは、移民に対する国民の態度に影響され、そこにはその国の歴史に由来する文脈的要因、その国の文化と親和性があるか否かという移民の特性、国民の個々人の志向や心理的特性が関与すると筆者は述べている。またメディアや政治家が移民や他国からの移住者をどう捉えるかは、国民の態度への影響が大きく、それらの人々の定着促進やメンタルヘルス問題の解決をしていく上で重要である、と筆者は主張している。

〔翻訳:清水 俊宏〕
 

■P. VERDUYN, N. GUGUSHVILI, E. KROSS. The impact of social network sites on mental health: distinguishing active from passive use. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 133–134.

The impact of social network sites on mental health: distinguishing active from passive use
ソーシャルネットワーキングサービスがメンタルヘルスに与える影響:能動的利用と受動的利用を区別する

<要旨>
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は現代の生活の一部となっているが、その急速な普及に伴い、SNSが人々のメンタルヘルスを損なうのではないかという懸念が高まっている。
筆者らは経験サンプリング法を用いて、Facebookを能動的に利用する(自ら発信する)場合と受動的に利用する(情報を受け取るのみ)場合では、経時的にメンタルヘルスに与える影響が異なるかについて研究を行っている。その結果、能動的な利用ではメンタルヘルスにプラスの効果があり、受動的な利用ではマイナスの効果がみられた。能動的利用の場合はソーシャルキャピタルが増加すること、受動的利用では他者との比較により妬みや劣等感を抱くことが原因であると考察している。

〔翻訳:北岡 淳子〕
 

■K. KROENKE. PHQ-9: global uptake of a depression scale. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 135–136.

PHQ‐9: global uptake of a depression scale
PHQ-9:うつ病尺度の国際的な普及

<要旨>
うつ病尺度PHQ-9は、多くの臨床現場で使用され、特にうつ病のスクリーニングにおいては主要な尺度となっている。PHQ-9は、無料、多言語への翻訳、重症度と診断の可能性を兼ね備えた尺度という点から国際的に普及している。「うつ病は単なる数字ではない」という批判への反駁として、筆者は、患者の主観に基づく尺度を「測定する」という行為の重要性を説く。年齢、性別、人種、民族等の集団や、臨床現場を問わず、共通の尺度として使用できるPHQ-9を測定することで、臨床現場でのコミュニケーションを円滑にし、うつ病の発見と管理改善の第一歩となると主張する。

〔翻訳:清水 俊宏〕
 

LETTERS TO THE EDITOR

■Akash R. Wasil, Sarah Gillespie, Tiffany Schell, Lorenzo Lorenzo‐Luaces, Robert J. DeRubeis. Estimating the real‐world usage of mobile apps for mental health: development and application of two novel metrics. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 137–138.

Estimating the real‐world usage of mobile apps for mental health: development and application of two novel metrics
メンタルヘルス・モバイルアプリの利用状況の実情の推定:2つの新しい測定基準の開発と適用

<要旨>
メンタルヘルス・モバイルアプリの実情調査を行うため、筆者は、アプリのカテゴリごとにユーザーがどの程度偏在しているかを示す指標を作成した。その結果、健康全般のアプリ市場よりも、精神疾患に関連するアプリ市場では、ユーザーが特定のアプリに偏りやすい傾向を示した。今回の指標を用いれば、網羅的にアプリの検証を行うのではなく、アクティブユーザーが遭遇しやすいアプリに絞った研究、評価を行えるため、デジタルヘルス分野における優先事項の高い研究を推進できると主張している。

〔翻訳:安藝 森央〕
 

■Elias Aboujaoude, Lina Gega, Andy J. Saltarelli. The retention challenge in remote therapy and learning seen through the lens of the COVID‐19 pandemic. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 138–139.

The retention challenge in remote therapy and learning seen through the lens of the COVID‐19 pandemic
COVID-19パンデミックを通してみえてきたリモート治療とリモート学習における継続性の課題

<要旨>
COVID-19パンデミックの中、オンラインに移すことで、心理療法と教育の場を維持することができた。しかし、オンラインでは集中力を持続することの難しさや、相互の結びつきの弱さを背景とした継続性の低さが多くの研究から明らかになっている。遠隔治療と遠隔学習はまだ従来のものにとって代わるものではなく、品質も保証されておらず長期的な代替策になり得るには更なる検討を要すると述べている。

〔翻訳:俊野 尚彦〕
 

■Qi Mei, Fei Wang, Amy Bryant, Li Wei, Xianglin Yuan, Jian Li. Mental health problems among COVID‐19 survivors in Wuhan, China. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 139–140.

Mental health problems among COVID‐19 survivors in Wuhan, China
中国武漢におけるCOVID-19生存者のメンタルヘルス問題

<要旨>
著者らはCOVID-19生存者の主要な後遺症としてメンタルヘルス上の問題が発生するという仮説を立て、中国武漢での研究においてCOVID-19生存者のメンタルケアの専門家による評価を含む追跡調査を実施した。COVID-19生存者のうち、うつ病または不安症を有する者について調べられ、メンタルヘルス問題のリスク要因として、SARS-CoV-2の再検査陽性、一人暮らし、女性、慢性身体疾患の併存、低学歴・低収入レベル等が挙げられている。

〔翻訳:清水 俊宏〕
 

■Kira F. Ahrens, Rebecca J. Neumann, Bianca Kollmann, Michael M. Plichta, Klaus Lieb, Oliver Tüscher, Andreas Reif. Differential impact of COVID‐related lockdown on mental health in Germany. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 140–141.

Differential impact of COVID‐related lockdown on mental health in Germany
COVID関連ロックダウンがメンタルヘルスへ与える影響の差異:ドイツにおける縦断コホート調査から

<要旨>
COVID関連ロックダウンは精神衛生へ悪影響を与えるという横断的研究が散見されるが、縦断調査の上ではそうとは言えない。ドイツのラインマイン地方で行われている前向き縦断的コホートの研究結果では、ロックダウン後にGHQ-28の値が全体的には有意に低下している一方で、点数が上昇したサブグループが存在した。危機に脆弱なグループとなるリスク因子、保護因子を同定し、その層への対象にあわせた介入が行われるべきである、というのが筆者の主張である。

〔翻訳:安藝 森央〕
 

■Kristina Laugesen, Dóra Körmendiné Farkas, Mogens Vestergaard, Jens Otto Lunde Jørgensen, Irene Petersen, Henrik Toft Sørensen. Glucocorticoid use and risk of suicide: a Danish population‐based case‐control study. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 142–143.

Glucocorticoid use and risk of suicide: a Danish population‐based case‐control study
グルココルチコイドの使用と自殺のリスク:デンマークの人口ベースの症例対照研究

<要旨>
本稿では、デンマークで行われた登録ベースの人口ベースの症例対象研究におけるグルココルチコイドの使用と自殺のリスクについて同薬剤の投与形態、投与時期、対象疾患や併存疾患などの観点からの評価が述べられている。併存疾患・過去の投与歴によらず、経口投与開始時に用量依存性に自殺リスクを上昇させ、高用量投与となり易いがん患者では7倍、その他の疾患の患者においても2倍のリスク上昇を認めたことから、経口グルココルチコイドの使用開始と自殺との関連性を認識しながら診療に取り組む重要性があると主張している。

〔翻訳:下島 里音〕
 

■Gregory Armstrong, Tilahun Haregu, Vikas Arya, Lakshmi Vijayakumar, Mark Sinyor, Thomas Niederkrotenthaler, Matthew J. Spittal. Suicide‐related Internet search queries in India following media reports of a celebrity suicide: an interrupted time series analysis. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 143–144.

Suicide‐related Internet search queries in India following media reports of a celebrity suicide: an interrupted time series analysis
有名人の自殺をメディアが報じた後のインドにおける自殺関連のインターネット検索語(断続的時系列分析にて)

<要旨>
「自殺に関する無責任な報道が更なる自殺を誘発するという仮説がある一方、保護的に働くよう報道しうるという仮説も存在する。筆者らは、ボリウッドのスター俳優の自殺がメディアで報道された後、インドにおける検索語がどのように変化したかの解析を行なった。結果、「首吊り」などの自殺関連の有害な検索語と「自殺予防」「うつ病専門医」などの保護的な検索語の両方の検索が大幅に増加した。自殺報道が検索行動と密接に結びついていることが明らかとなり、検索語の監視が自殺予防へのヒントとなる可能性があることを筆者は述べている。

〔翻訳:福島 弘之〕
 

■Katherine M. Keyes, Rob Whitley, David Fink, Julian Santaella, Jane Pirkis. The global impact of celebrity suicides: implications for prevention. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 144–145.

The global impact of celebrity suicides: implications for prevention
有名人の自死が世界に与える影響:予防への示唆

<要旨>
各国で有名人の自死に伴う模倣自死を防ぐため、メディアによる自死報道ガイドラインが作成されている。近年では従来のメディアに代わって国境を越えて利用できるソーシャルメディアなどによる情報のグローバル化が、有名人の自死に伴う模倣自死増加の一因と推測され、公衆衛生、精神医学、報道関係者、政府関係者の協力や、メッセージの発信、研究などの取り組みについて再考する必要がある。

〔翻訳:入來 晃久〕


WPA NEWS

■Mariana Pinto da Costa, Roger M.K. Ng, Geoffrey M. Reed. International classification systems: views of early career psychiatrists. World Psychiatry. 2021 Feb; 20(1): 148–149.

International classification systems: views of early career psychiatrists
国際診断分類システムづくりにおける若手精神科医の視点の重要性について

<要旨>
WPA若手精神科医(以下ECP)部会によるオンライン調査の結果、世界中の日常的な臨床現場において精神科診断を行う際にECPが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。WHOが現在、ICD-11の導入に向けた準備を進める中、これを受けて WPA ECP 部門および国際医学生連盟のメンバーを含む新しいタスクフォースを招集することになった。著者らはECP視点の発言があることで、臨床におけるECPの重要な役割に対する認識を高めて、世界中での現在および将来の精神医学的分類システムの有効活用への一助となることを願っている。

〔翻訳:清水 俊宏〕
 

 

翻訳協力者一覧

【監訳】
秋山 剛    NTT東日本関東病院

【翻訳】
認定NPO法人      日本若手精神科医の会(JYPO)会員 http://www.jypo.org/
河岸 嶺将       千葉県精神科医療センター
下島 里音       鹿児島大学病院 神経科精神科
北岡 淳子       瀬野川病院
福島 弘之       醍醐病院
九野(川竹)絢子   京都大学医学部附属病院
入來 晃久        大阪精神医療センター
俊野 尚彦      十条産業保健事務所
安藝 森央      京都大学医学研究科 脳病態生理学(精神医学)
清水 俊宏      埼玉県立精神医療センター

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