公益社団法人 日本精神神経学会

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学会活動|Activities

過去のAPA派遣者一覧

更新日時:2019年6月24日

過去にAPAにJSPNの代表として派遣された先生方の、報告書や感想を以下に掲載します。
ご応募の際、ぜひご参考になさってください。
(※ ご所属は派遣当時の所属施設名を掲載しております。)

2019年派遣者

■氏名:秋山 剛

■所属: NTT東日本関東病院

■発表日: 2019年5月20日

■発表演題名:
American Psychiatric Association and Japanese Society of Psychiatry and Neurology: history and future visions for collaboration

■感想:
アメリカ精神医学会(APA)の年次総会における日本精神神経学会(JSPN)との共同シンポジウムは、2016年の”The Evolving Role of Psychiatrists in Medicine: From East to West”、2017年の”Collaboration with other specialties of medicine: Pacific Rim leaders’ perspectives”、2018年の”Hikikomori: recent findings and their relevance to American psychiatry” と回を重ね、今年は、APAの175回総会という歴史の節目にあたり、総会全体で歴史の振り返りが行われたことにあわせ、APAのPresident、Dr Altha Stewart から、”American Psychiatric Association and Japanese Society of Psychiatry and Neurology: history and future visions for collaboration”を、Presidential session として行いたいという提案があった。
2019年5月20日に行われたシンポジウムでは、Dr Altha Stewart から2018年のJSPNの神戸総会で、Women’s leadership をテーマとしたLeaders Round Table に参加した経験、佐藤光源先生からJSPNの2002年までの国際活動の振り返りと統合失調症呼称変更の効果、若手精神科医の代表としてAPAの理事も務めているDr Ayana Jordan から、国際的な精神保健システムの比較と若手精神科医が寄与できる可能性、Dr Michael Hann から、2018年のJSPN総会にFellowship Award受賞者として参加した経験および、横須賀の米海軍病院がJSPNの会員と臨床ネットワークを築き始めている現状、青木藍先生から2002年以降のJSPNの国際活動のまとめと統合失調症の呼称変更に関するご自分の研究成果について発表があり、APAの次期President のDr Bruce Schwartz から、「リーダーは時代を先読みして組織に常に変化を起こし続けなければいけない」というDiscussion があった。
シンポジウムには、JSPNからの参加者、日系または日本滞在歴があるAPA会員のほか、一般の聴衆も大勢参加し、発表、質疑応答ともに非常な盛り上がりをみせた。この歴史的シンポジウムの座長をさせていただけたことは、私とってとても名誉なことでした。ありがとうございます。


■氏名:佐藤 光源

■所属:医療法人恵風会 高岡病院

■発表日:2019年5月20日

■発表演題名:
Overview: International Activities of the Japanese Society of Psychiatry and Neurology

■感想:
APA創設175周年の記念大会に参加し、今後の日米協力関係の促進に向けて従来のJSPNの国際活動とJSPN、日本の精神医学の変遷について発表した。その要旨はつぎのようである。
日本の精神医学は精神病学として19世紀に始まり、欧州で研鑽を積んだ呉秀三らが1902年にJSPNを設立した。第二次世界大戦の終戦(1945)まではドイツ精神医学が主流であったが、終戦後、日本の精神保健政策や精神医学、JSPNは大きく変化した。精神衛生法の公布(1950)で精神病者監護法が廃止され、フルブライトプログラムなどで欧米を視察した精神科教授らの影響もあり、精神分析や心身医学、児童精神医学、社会精神医学、精神科リハビリテーションが導入され、従来の病因論から精神発達や心理社会的次元へと展開した。一方、1960年代にはライシャワー事件、大学紛争やJSPN総会の混乱があり、第66回総会(1969)ではすべての学術発表が中止され、精神医学に深刻な影響があった。日本生物学的精神医学会や日本てんかん学会など多くの精神医学関連学会が新設され、加盟した国際学会で精神医学の進歩に貢献した学会も少なくない。
  JSPNの本格的な国際活動は世界精神医学会加盟(1961)で始まった。また、1963年には第1回日米合同会議が開催され、翌年には第2回会議が開催されたが、ライシャワー事件とそれに伴う法改正への緊急対応のため第2回で中止となった。当時、WPAからJSPNに地区大会の開催要請がくりかえされたが、実現したのはThe Kyoto Symposium (1979)とThe WPA International Conference on Psychiatric Therapy(1987)である。
JSPNの国際活動が画期的に躍進したのは第12回WPA横浜大会(2002)の開催であり、JSPN提案の横浜宣言が採択された。同時開催のJSPN創立百周年記念大会では学会認定医制度と精神分裂病の呼称変更などが決定し、横浜宣言もあってJSPN国際委員会活動が本格化した。委員長を務めた秋山剛氏がJSPNから初めてWPA理事に選任され、APAを含む多くWPA加盟学会との国際交流が本格化し、今日に至っている。


■氏名:青木 藍

■所属:東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻精神医学分野 博士課程

■発表日:2019年5月20日

■発表演題名:
American Psychiatric Association and Japanese Society of Psychiatry and Neurology: History and Future Visions for Collaboration

■感想:
セッションについて:
今回参加したセッションはAPAの175周年を記念した歴史に焦点を当てたセッションのうちの一つであり、APAと日本精神神経学会の関わりの歴史に焦点を当てたものであった。両学会の関わりについては知らないことばかりであったが、主に秋山先生から教えていただきながら準備し、2002年のWPA横浜大会以降の歴史について発表させていただいた。発表を通じて、精神神経学会の若手精神科医の国際交流を促進するプラットフォーム、特にフェローシップアワードなど、は素晴らしいものであり、他国の学会もほとんど実践していない貴重なものであることを知った。社会の多様性が増して行く中で、異なる背景、環境で働いている精神科医との交流から得られる刺激、治験はますます重要になって行くだろう。APAも同様の交流を活性化させて行くという意欲を感じた。

APA全体について:
アメリカは医療保険システムが日本と異なり、精神科医療が、社会的弱者にどのように関わっているのかということに強い関心があった。しかしAPAは、健康を規定する社会的な因子に挑戦し、重たい障害を抱えた人を支えて行くことが精神科医の責務であるというメッセージを発信していたように思う。また様々なセッションからは臨床的に精神科医が直面している困難には共通することが多いということも感じた。
APAに参加し、精神神経学会を代表して発表する機会をいただいたことはとても大きな刺激、経験になった。報告書を借りて、精神神経学会、特に国際委員会の先生方に感謝を申し上げます。

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