公益社団法人 日本精神神経学会

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鬼頭伸輔先生に「反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)」を訊く

更新日時:2023年5月8日
 鬼頭 伸輔 先生
国立精神・神経医療研究
センター病院

※所属は掲載日のものです
反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)についてお伺いしました。
(掲載日:2023年5月8日)

Q1 反復経頭蓋磁気刺激療法とは、どのような治療法ですか?

 反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は、磁気により脳の神経細胞を刺激し、うつ病の症状を緩和させる治療法です。その原理は、頭部にあてたトリートメントコイルから磁場を発生させ、それに伴って生じる誘導電流が脳の神経細胞を刺激し、その結果、脳の活動が改善し、症状が緩和すると考えられています
 rTMS療法の適応は、抗うつ薬による薬物療法の効果がみられない成人のうつ病患者さんです。日本でも、一部の医療機関でrTMS療法を保険診療として受けることができます。rTMS療法を受ける際には、図のように椅子に腰かけ、左前頭前野(左前額)にトリートメントコイルを固定し、1日約40分、週5日、3~6週間の治療を行います。

rTMS適正使用指針(日本精神神経学会)

 

Q2 rTMS療法の有効性を教えてください。また、どこの医療機関で受けることができますか?

 rTMS療法を受けることによって、うつ病の症状がほとんどなくなる寛解といわれる状態まで改善する患者さんは、約30%くらいです。うつ病の症状が半分程度になる状態まで改善する割合は、約50%くらいです。rTMS療法を受けて、うつ病が良くなっても薬物療法を継続することが一般的です。ただし、これまでにけいれん発作を起こしたことがある患者さんや、脳動脈クリップ・コイルなど、身体のなかに金属(磁性体)がある患者さんはrTMS療法を受けることができない場合があります。事前に、rTMS療法を担当している医師に相談してみましょう。
 rTMS療法を保険診療として実施している医療機関は、日本精神神経学会のホームページの医療連携申告書提出施設リストから確認することができます

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)適正使用指針 医療連携申告書提出施設リスト

 

Q3 副作用はありますか?

 rTMS療法でみられやすい副作用は、刺激部位の痛み(約30%)、顔面の不快感(約30%)、頸部の痛みや頭痛(約10%)があります。ただし、これらの副作用は、rTMS療法の実施中に生じ刺激終了後には消失することが一般的です。まれな副作用では、けいれん発作(0.1%未満)や、躁・軽躁状態などが報告されています。

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