妊娠中・出産後に「医師や看護師などとコミュニケーションが難しい」と感じるようになった方のためのQ&A
Q9 妊娠中・出産後に「医師や看護師などとコミュニケーションが難しい」と感じるようになった方のためのQ&A
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9-1 妊娠中・出産後の困りごとについて、医師や保健師などに、言いたいことがうまく伝わりません。どうしたらよいでしょうか?
9-1 診察や相談(面会)の前に、あらかじめ言いたいことをメモに書いておくとよいでしょう。
アドバイス
- 普段から、困ったことや疑問など、そのつどスマートフォンあるいは手帳などにメモする癖をつけるとよいでしょう。
- 可能であれば、診察前あるいは相談する前に、そのメモをまとめておくとよいでしょう。
- メモを取るのが難しい場合には、前もって周囲の方にお話ししておいて、代わりに医師などに説明していただくようお願いするのもよいでしょう。
説明
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9-2 妊娠中・出産後に、説明を受けてもなかなか理解できません。何かよい工夫はありますか?
9-2 説明の仕方を工夫してもらうようお願いしてかまいません。
アドバイス
- 説明を理解することが難しい場合、以下のような方法を試みるとよいでしょう。
- 遠慮せずに「すみません、理解できません」と伝える。
- 説明を受ける際、できるだけ周囲の方に同席してもらう。
- 説明をなるべく簡単にするようにお願いする。
- 説明を受ける時に、メモを取るようにする。
- 紙に書いて説明してもらう。
- なるべく図や絵に描いてもらったり、説明を箇条書きにしてもらったりする。
- 冊子等の印刷物がある場合は、それを使って説明してもらう。
- 「私は聞くより読む方が理解できるので、何かこれを読んだらいいというものを教えていただけませんか?」とたずねてみる。
- 上記のようなことを、医師などに直接頼みにくい場合は、看護師や助産師にお願いするとよいでしょう。
- それでも理解が難しい場合は、精神科を紹介してもらい、精神科医からコミュニケーション上のアドバイスをもらうこともひとつの方法です。(Q4-1、Q4-4もご覧下さい)
説明
- 説明が理解できないことについてですが、もしかしたら、耳から聞く情報が理解しづらいのかもしれません。このような方は紙に書いてもらうことで理解しやすくなることが多いです。
- 妊娠中・出産後は、医療機関(産科、精神科、小児科)だけでなく市区町村の保健センターなど、様々な機関と関わらなければなりません。メディカルソーシャルワーカーや保健師に、関わる人との間に入ってもらうこともできます。
- 精神科医からコミュニケーション上のアドバイスをもらうのもひとつの方法です。(Q19-2もご覧下さい)
- 説明を理解することが難しい場合、以下のような方法を試みるとよいでしょう。
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9-3 妊娠中・出産後に、言いたいことを伝えたり、説明を理解したりすることが難しいのですが、精神科を受診した方がいいですか?
9-3 コミュニケーションが、どうしてもうまくいかない場合、産科医に精神科医への紹介を依頼するのもひとつの方法です。(Q1-4もご覧下さい)
アドバイス
- コミュニケーションがうまくいかないことで、大きなストレスを感じたり、どうしてよいのかわからないほど悩んだりする場合、精神科医に間に入ってもらうのもよい方法でしょう。
- 直接、身近な精神科を受診したり、保健センターに相談したりしてもよいでしょう。(Q1-4もご覧下さい)
説明
- 妊娠すると、人間関係に大きな変化が起こります。産科医、助産師、保健センターの保健師など、これまでに関わってこなかった大勢の方々と、急に交流する機会が増えます。それによって、それまで気づかれなかったコミュニケーションの困難に悩み出す方が少なくありません。
- 慣れない方々とコミュニケーションをとることは、想像以上にストレスがかかることです。場合によっては、不安や「うつ」の原因にもなります。そんな時に、精神科医に相談するのはよい方法です。精神科医は、そのような悩みに寄り添ってくれるでしょう。
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9-4 妊娠中・出産後の本人が、医師や助産師などとコミュニケーションが取れなくて悩んでいます。周囲のものはどうしたらよいでしょうか?
9-4 周囲の方から、医師や助産師に、本人がコミュニケーションに悩んでいるとお伝え下さい。
アドバイス
- コミュニケーションが取りにくい理由はともあれ、(事前に本人の了解を得て)周囲の方々から産科医や助産師に、本人だけではコミュニケーションが難しいことを伝えていただくとよいでしょう。
- そのうえで、どなたかが、本人の言いたいことを補足したり代弁したりという手助けをするのがよいでしょう。
- 医療チームの皆さんにも、コミュニケーションが取りにくいことを知ってもらうとよいでしょう。
説明
- 本人が、医師や助産師とコミュニケーションを取りづらい理由は様々です。たとえば、家ではよく話すのに、外では借りてきた猫のようになってしまう方がいます。医学用語では場面緘黙(選択性緘黙)といいます。あるいは自閉スペクトラム症という、対面や会話でのコミュニケーションが苦手な方がいます。この場合は、本人のコミュニケーションの取りにくさの特徴を周囲が理解することが大切です。
- 場合によっては、精神科を受診してアドバイスを受けたり、精神科医から産科医などに紹介状(診療情報提供書)を出してもらったりするのもひとつの方法です。(Q1-4もご覧下さい)