妊娠・出産の知識に関するQ&A
Q1 妊娠・出産の知識に関するQ&A
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1-1 妊娠中はおなかが大きくなること以外にどんな体の変化が起こりますか?
1-1 妊娠中は、ホルモンの変化に加えて、体の血液量が増えることによっていろいろな変化が起こります。
アドバイス
- 妊娠中、体に気になる変化が起こったら、産科医、助産師、看護師などに聞いてみましょう。
説明
妊娠中は、どなたにでも次のようなことが起こりえます。
- ホルモンの変化によって次のようなことが起こりやすくなります。
- 体のあちこちがむくみます。(顔の中のむくみで視力低下、耳閉感、めまい、鼻出血など)
- 胃腸の動きが悪くなります。(つわり、逆流性食道炎、便秘など)
- 肌が弱くなります。(肌荒れ、脱毛、歯周病が悪くなるなど)
- 食後の血糖値があがりやすくなります。(ひどくなれば、妊娠糖尿病を発症します)
- 赤ちゃんを育てるために血液の量が増え、次のようなことが起こりやすくなります。(ひどくなれば、妊娠高血圧症候群になります)
- 大きい子宮によって下半身の血のめぐりが悪くなります。(下肢の静脈瘤、痔、エコノミー症候群・血栓症など)
- 血液量が増えることに対する反応が起こります。(めまい、ふらつき、動悸、冷や汗、失神など)
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1-2 妊娠中には、どのような体のトラブルが起こりますか?
1-2 妊娠中は、いろいろな心身の不調が起こりえます。
アドバイス
- 妊娠中は、何となくでも調子がおかしかったら、産科医、助産師、看護師などに聞いてみましょう。
説明
- ホルモンの変化によって、次のようなことが起こりえます。
- 体のあちこちがむくみが出る。
ひどくなると顔や手足がパンパンになることがあります。 - 胃腸の動きが悪くなる。
重いつわり(悪阻)や強い便秘症になります。 - 肌が弱くなる。
体中のかゆみ・発疹が強くなると、内臓に影響が出ることがあります。 - 食後の血糖値が上がる。
突然糖尿病を発症することがあります。
- 体のあちこちがむくみが出る。
- 赤ちゃんを育てるために血液の量が増え、次のようなことが起こりえます。
- 妊娠高血圧症候群を突然発症して、まれに脳卒中を起こすことがあります
- 大きい子宮によって下半身の血のめぐりが悪くなると、エコノミー症候群となり、まれに肺や心臓に血が詰まってしまうことがあります。
- 突然気が遠くなって倒れてしまうことがあります
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1-3 妊娠中に起こった体のトラブルは誰に相談すればいいですか?
1-3 産婦人科の担当医もしくは助産師に相談して下さい。
アドバイス
- 妊娠中に気になる症状があった時は、まず、産科医もしくは助産師などに相談して下さい。
説明
- 仮に、精神科もしくはそれ以外の科の診察が必要な場合は、産婦人科の担当医から他科の医師や施設に紹介します。(Q1-4もご覧下さい)
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1-4 かかりつけの産科は、どのように精神科と連携しているのですか?
1-4 時間的余裕がある場合は紹介状(診療情報提供書)を用いますが、急ぎの場合には電話やメールなどを用います。
アドバイス
- 妊娠中や育児期は、こころが不安定になりやすい時期なので、妊産婦さんのケアには産科と精神科で連携してもらうとよいでしょう。(Q4-4もご覧下さい)
説明
- 精神科と産科の間で紹介状(診療情報提供書)のやりとりをしたり、定期的に検討会を行ったりすることを国も推奨しています。
- 妊産婦さんのこころのケアのために、精神科と産科が協力することが、以前よりも熱心に取り組まれるようになってきています。
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1-5 どのような公共のサービスがありますか?どのようにすれば利用できますか?
1-5 育児用品の宅配サービスなど妊娠・育児生活の負担を軽くしてくれるサービスがあり、そのほとんどはウェブ上で申し込むことが可能です。
アドバイス
- 妊娠・育児生活の負担を軽くしてくれる様々なサービスがあります。(Q2-5、Q4-5もご覧下さい)
- 公共サービスの多くはウェブ上で申し込むことが可能ですが、わからない場合は、地域の母子健康手帳(母子手帳)を発行してもらった窓口や、かかりつけ分娩施設の助産師さんに相談してみましょう。
説明
- 子育てなどで外出もままならないお母さんなどには、育児用品の宅配サービスなどがあります。
- ウェブ上では、出先の授乳室や駅のエレベーターの場所に関する情報サイト、予防接種や離乳食関連の情報サイトなどがよく利用されています。東京都を例にとり、よく利用されている妊娠~子育て中の社会資源・地域サポートを以下の表に列挙しましたので参考にして下さい。
- 産後ケア事業とは、お母さんと子ども、そしてその周囲の方が健やかな育児ができるように支援する地域の公的事業です。助産師さんが訪問してくれるタイプや2~数日間宿泊できるタイプなどがあります。
表.東京都でよく活用される社会資源・地域サポート
妊娠中 産後 子育て中 - 生活共同組合
- ネットスーパー
- 陣痛タクシー
- 家事代行
- 一時保育
- ファミリーサポート
- ベビーシッター
- 生活共同組合
- ネットスーパー
- 産後の助産師訪問
- ファミリーサポート
- 産後ドゥーラ
- 産後ケア(事業)
- 病児・病後児保育
- 家事代行
- ベビーシッター
- 生活共同組合
- ネットスーパー
- 保育園
- 子育てサークル・児童館
- 子どもセンターでのイベント
- ファミリーサポート
- ウェディングベビーシッター
- 家事代行
- 一時保育
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1-6 妊娠中に使用している薬がおなかの赤ちゃんに影響しやすい時期はありますか?
1-6 ほとんどの薬は安全ですが、妊娠2ケ月の後半から赤ちゃんに影響を及ぼす薬がわずかにあります。心配な薬があれば、早めに担当医に相談して下さい。
アドバイス
- ほとんどの薬は安全ですが、一部の薬で、妊娠2カ月後半~3ケ月頃に使用すると、赤ちゃんの形の異常の確率が少し高くなることが知られています。また、一部の薬は、妊娠が進むほど赤ちゃんの内臓のはたらきに影響を及ぼすことがあります。
- 薬をやめることによって、もとの病気が悪くなると、それも赤ちゃんに悪い影響を及ぼします。そのため、できれば妊娠前に、あるいは妊娠がわかったら、薬を変更したりする必要があるかなど、早めに担当医に相談するとよいでしょう。(Q2-2、Q3-1もご覧下さい)
- お産の直前まで服用していた薬によって、赤ちゃんがうとうとしたりすることがあります。このような場合、赤ちゃんの様子をしっかり診察してもらう必要があります。使用している薬の内容を、お産前に産科医に伝えておきましょう。(Q2-9もご覧下さい)
説明
- 健康で若いお母さんから生まれた赤ちゃんであっても、100人中3人(3%)の赤ちゃんで、生まれたあとに形の異常が見つかります。他にも、何らかの病気が見つかることがあります。そのため、赤ちゃんに影響する(病気を引き起こす)薬とは、使用することによって、赤ちゃんに病気を引き起こす確率が、薬を飲まない場合よりも高いことが明らかになっている薬のことをいいます。
- 薬が赤ちゃんに影響する時期は、薬の種類によって違いますが、早くても妊娠2ケ月の後半以降の時期になります。妊娠3ケ月までは赤ちゃんの形に、それ以降は内臓のはたらきに影響を及ぼす可能性があります。