公益社団法人 日本精神神経学会

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精神科医のキャリアパス

更新日時:2024年3月1日

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山本 宏明  先生
北里大学メディカルセンター 精神科 副部長

「アスリートの診療を積極的に請け負ってくださる精神科医は全国的に不足しています。まだまだ知見を集積していかなければならない段階ですが、一緒に取り組んでくださる先生方の登場をお待ちしております。」

(掲載日:2024年3月1日)※所属は掲載日のものです

山本先生が精神科医を志した理由を教えてください。

 人生の使いみちとして、自分にとって一番合うのではないかと思ったからです。
幼少期から生き物が好きで、犬やアカハライモリを飼い、休日は毎日近くの川で魚釣りに熱中していました。同時にゲーム(ファミコン)やスポーツも大好きで、中学生時代は昭和の不条理さや根性主義の色濃いテニス部でひたすらボールを追いかけていました。年齢を重ねるにつれ、生き物の中でも奥の深い「人間」への興味が強くなり、医師という職業に魅かれ始めました。なかでも「こころ」に携わる精神科医という存在に神秘的な魅力を感じ、志すようになりました。

現在はどのような働き方をされていますか?また、なぜ今の働き方を選んだのか、理由を教えてください。

 北里大学メディカルセンターという埼玉県で地域医療を担う総合病院で、コンサルテーション・リエゾン診療を担当する総合病院精神科医として働いています。同院で2012年から犬の力を借りた動物介在療法(Animal Assisted Therapy)に取り組んでおり、犬と毛まみれになって遊んだ幼少期の体験が活きています。

 また、アスリートのメンタルヘルスに携わる精神科スポーツドクターとしての活動に力を注いでいます。医師になってすぐの時期に、日本スポーツ精神医学会を創設した永島正紀先生の「スポーツ少年のメンタルサポート」という書籍に出会い、精神科医としてスポーツに携わる道があることを知って心が躍りました。医師6年目の2007年に日本陸上競技連盟医事委員会に加えていただき、国内のスポーツ医学を牽引する先生方からご指導を賜る幸運に恵まれました。競技現場で右も左もわからず失敗を重ねながらも、選手サポートや東京オリンピックの救護活動など貴重な経験をさせていただいてきました。機会をいただいた分、精神医学とスポーツ医学をつなぐ役割を果たすことで恩返ししていかなければと思っています。

    
   〔スタジアム救護。筆者(中央)〕         〔北里大学メディカルセンター、動物介在療法〕

精神科を選んで良かったことは何だと思いますか?

 精神医学が、他領域と交わることで沢山の発見や価値を提供できる懐の深い学問であることが、とても良かったと思っています。産業、司法、児童、周産期など様々な領域で精神医学が応用されていますが、私の場合は子供の頃から好きだった動物やスポーツ、さらにはコンピューターゲームにも日本eスポーツ連合医事委員長として携わる機会に恵まれました。


 〔eスポーツ・アスリートと。筆者(右)〕

最後に、医学生、研修医の方へのメッセージをお願いします。

 アスリートのメンタルヘルスを大切にするスポーツを広める活動に力を注いでいます。アスリートの診療を積極的に請け負ってくださる精神科医は全国的に不足しています。まだまだ知見を集積していかなければならない段階ですが、一緒に取り組んでくださる先生方の登場をお待ちしております。

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