公益社団法人 日本精神神経学会

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医学生・研修医の方へ|for Residents and Medical Students

6. 医療だけでなく、司法・教育・産業衛生・心理など多領域で活躍できる

更新日時:2015年1月28日

たとえば司法精神医学の場合:

我が国でこの10年間で最も注目を浴びた精神科臨床の分野の一つです。これまで司法精神医学といえば精神鑑定、とりわけ刑事精神鑑定で、精緻な診断学や、こころの内側を表現する精神病理学としてのみ注目のあった分野でした。平成17年に「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関する法律(医療観察法と略)」が施行され、他害行為を行った精神障害者の治療や社会復帰を促進するために法律家(裁判官や検察官や弁護士)や行政(精神保健福祉関係や保護観察所など法務関係)と協働する新しい精神科システムに変化し、全国に入院施設、通院施設、鑑定施設が整備されてきました。わが国の精神科医療環境では最も高い水準が求められており、個人を大切にしてセキュリティとアメニティが共存する治療環境、多くの人材を投入する多職種チーム医療、クロザピンによる治療抵抗性統合失調症の薬物療法、認知行動療法を主軸とする豊富な心理社会的治療、地域での生活を支える包括的地域精神医療(ACTやCare Program Approach)などを先駆的に行うようになりました。精神鑑定も多くの精神科医が参加するようになり、治療学を含むことで「法律と医学の対話」が進み、ダイナミックな専門分野として人気を集めるようになっています。欧米と同様に整った人材を投入し個人の負担が少なく、女性精神科医の専門分野としてライフサイクルに沿ったキャリアアップが可能で人気があります。国に司法精神医学研究部も設置され、多くの施設に所属する医師が医療観察法をめぐるあらゆる側面の研究活動に参加しています。その一つに提供する高い医療レベルの均霑化を目的として、医療観察法施設の間で相互に多職種チームによる訪問を行うピアレビュが行われ、医療の運営、ケースの評価や治療について交流を通してより良き医療システムへと変化を支えています。

(琉球病院 村上優)

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