公益社団法人 日本精神神経学会

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医学生・研修医の方へ|for Residents and Medical Students

7. 救急を初めとして身体諸科との連携が期待されている

更新日時:2015年1月28日

脳が身体の臓器の1つであるという事実は、様々な身体疾患と精神症状との連動が少なくないこと、それゆえ身体諸科との連携が必須であることを意味します。

精神症状が前景となって発症する場合しばしば精神科救急患者として搬送されますが、臨床像に対する精神科医としての診たてと直観、治療に並行して進める精査から原因の身体疾患を解き明かす過程は医者冥利に尽きます。隠れていた身体疾患が重篤な場合、私が長年いた都立墨東病院では救命センターの医師たちが即座に応援に来てくれました。毎日のように搬送される自殺企図患者を救命センターに往診するわれわれ精神科医への彼らの自然な意思だったと思います。幻覚や興奮で発症した脳炎や甲状腺機能亢進症など、最初の判断が生死を分ける重責でもありますが、その緊張感の中で、着実に腕は磨かれ、連携の重要さも身に染みます。

一方、身体症状が主であるけれども精神症状を併発する場合、精神科医は身体諸科を支援する立場になります。その代表であるせん妄は、人口の高齢化が進む中ますます高頻度になっており、特に一般病院において精神科医が頼りにされる局面は増えています。突発する精神症状を、リスクを勘案しながら迅速に鎮める技量が必要ですが、患者のみならず身体各科の医師やスタッフに貢献できる喜びを感じます。精神科医は患者の立場に関する心理・社会的側面に配慮する訓練も受けるため、身体諸科との連携において総合的視点を提供できる強みもあります。

このように連携は、これからの精神科医に益々期待され、混乱して憔悴した患者さんに提供する医療の質を高めることに繋がります。また、医学的意義の深い症例を連携科と検討を重ねて国際誌に報告したり、まとまった数の症例を集めて共同で臨床研究したり、医療のみならず医学のレベルでも連携する精神科医が求められています。

(順天堂大学 八田耕太郎)

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