公益社団法人 日本精神神経学会

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学会案内|About Japanese Society of Psychiatry

理事長からの年頭の御挨拶

更新日時:2020年2月12日New

皆様、今年もよろしくお願いします。

 今年は、矢部博興教授を会長として、6月18~20日にわたり、仙台市で学術総会を開催します。最新の知識に加えて、脳波や脳画像の判読の基本、児童精神医学、司法精神医学など、周囲に専門家が少ない領域も学べるような魅力ある学会になると思います。是非とも大勢の方にご参加頂きたいと願っています。

 本学会の会員は19,000名に届こうとしており、専門医11,715名、指導医7,846名、188つの研修プログラムが全国に網の目のように張り巡らされています。

 しかし、専攻医の募集をみると、県によってはゼロのところがあるかと思えば、東京都と福岡 県では、シーリングを遙かに超えた応募者の採用決定に際して、多くのプログラムに、痛みを伴った大幅な削減をお願いしなければなりませんでした。医師の偏在を解消するために、専門医制度だけを手段とするのは、この制度の本来の目的を損なうことにつながりますし、そもそも実効性にも乏しいのではないかと思われます。

 本学会は、精神科七者懇談会とともに、一貫して、「精神科医は過剰である」という医師需給見込み数の算出法が不正確であり、それに基づいてシーリングが決められて いることに強く反対してきました。今後も、継続して、シーリング数を見直すように交渉していきます。 

 話は変わりますが、今期理事会では、新しく2つの委員会を立ち上げました。それは、当事者研究の成果を精神医療に取り入れるための検討班「精神医学・精神医療に関するパラダイムシフト調査班」と、“どこでも、いつでも”、精神医学・医療の最新知識に触れることができるe-learningの教材の充実を図る「eラーニング編集委員会」です。

 一昨年、精神医学研究推進委員会では、研究の優先順位を当事者、臨床医、研究者が共同で決める方針(Patient and Public Involvement: PPI)を取り入れました。すると当事者団体や家族団体からは、「結果を出してほしい」「当事者に還元してほしい」「研究者は自分の関心のあるテーマの研究をやりたい人達で、当事者や家族の望む研究をやりたい人達だとは思えない」「家族会として声を上げていくことが、精神医学の発展に貢献できるのではないか」といった意見が聞かれました。これらの意見を踏まえて今後の研究推進のための提言を作成したのです。精神医学・精神医療に関するパラダイムシフト調査班では、この経験を生かし、さらにこれを推し進めて、他の学会活動にも徐々に広げていく方法を検討しています。

 その他の重要な問題として、「隔離拘束の調査と対応」、「旧優生保護法問題への対応」、「女性会員の活躍」、「ICD-11の導入」などがあります。なかでも隔離拘束の問題は、WPAがタスクフォースを作り検討を始めたところであり、参加学会として意見をまとめる必要があります。すなわち、日本国も2016年に批准した国連の“障害者権利条約”(CRPD)では、「身体の自由」が謳われています(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html)。しかし日本では、いまだに隔離拘束が多く行われているのではないかという国内外の批判を受けています。むろん身体的拘束や隔離はない方がよいのは、P. Pinel 以来自明のことですが、なぜ今に至ってもなくならないのか、それをなくすにはどのような精神医療 が必要なのかを考える必要があるでしょうし、そもそも入院に至らないですむような、良質なメンタルヘルスサービスを拡大することも同時に進めて行く必要があるでしょう。

 上に述べた委員会以外にも、本学会には50以上の委員会があり、それぞれに重要な問題を熱心に検討しています。学会のさらなる発展のために、引き続き、会員各位のご理解とご協力をよろしくお願いします。

 

公益社団法人日本精神神経学会
理事長 神庭 重信

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