| 平成23年9月28日 社団法人日本精神神経学会理事会 |
2011年7月の社会保障審議会医療部会において、現在、医療法に基づく医療計画に地域医療連携等の対策を記載することとなっている4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に精神疾患を加えて5疾病とする提案が厚生労働省によって示された。医療計画に記載すべき疾病に精神疾患を加えるかどうか、その具体的な検討は、今後「医療計画の見直し等に関する検討会」の審議に委ねられるが、5疾病に対する記載が義務づけられることはほぼ確実視されている。医療計画に記載すべき疾病の考え方として、①患者数が多く、かつ、死亡率が高いなど緊急性が高い、②医療機関の機能に応じた対応が必要、③特に病院と病院、病院と診療所、さらに在宅へという連携に重点を置くものといった点があり、このことはとりもなおさず、認知症やうつ病の増加・さらには自殺や社会的入院の問題も含む精神疾患への対応が、喫緊の課題として広く認識されたことに他ならない。さらに、我が国に関して算出された障害調整生命年(disability adjusted life years, DALY)註によると、疾患区分の中で、精神神経疾患はトップであり、疾患別でワースト20のうち5つが精神疾患となっており、DALYによれば、精神疾患が重点疾患であることは明白である。 今後、5疾病とされれば、都道府県が策定する医療計画に精神疾患に対する記載が義務づけられる。そして、この作業を今後の精神科医療の改善に向けたものにし、保健・医療・福祉等にかかわる様々な機関、団体、職能間の合意のもとで計画内容が確認され、目標が共有され、実効性のあるものとするために、以下の3点が重要である。 第1に、精神科医療従事者、関連保健福祉サービス等の関係者、住民・患者などが共同で精神疾患の医療計画策定に向けて協議する場を設定する必要がある。 医療計画の見直しにより、精神疾患が詳細な医療計画策定の対象になろうとしている状況のもと、精神科医療の関係者はこれを好機と受け止め、国民の理解をより喚起し、医療および関連保健福祉サービスの改革に活かしていかなければならない。 註)重点疾患の選択においては、より客観化した指標、例えば、世界保健機関WHO や世界銀行が作成した障害調整生命年(disability adjusted life years, DALY)などが用いられている。DALYは疾患がおよぼす影響には、「命を失うこと」と、「生活に障害を受けること」の二つがあり、この両者を合計している。 |